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中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

TANDA

今日は、所属する研究チームの先生の発表を聞きました。TANDAという、ヒスパニックの習慣についての発表です。

どこの社会にも、相互扶助の仕組みというものがあります。近代国家では、国が公的に行う、年金制度なんかがそうですね。

TANDAというのは、有志が集まって行う「貯金」の仕組みです。1人いくらと決めて、毎月お金を出し合います。そして、例えば5人のグループだったら、最初の月はAさんが5人分全部もらいます。次の月はBさんが5人分全部もらいます。これを5カ月繰り返すのです。例えば、1人100ドル出すとすると、500ドルが集まります。自分の番が3カ月目だったら、3ヶ月目に500ドルもらうのです。グループによって、毎月ではなく、毎週になったり、期間はまちまちです。

これがなかなかうまくできていて、親が参加者を集めて始めます。参加者の誰かが辞めちゃったら、親がその人の肩代わりをします。契約書もなんにもない、信頼関係で成り立つ世界です。こうやって、銀行に貯金をする代わりに、上手にお金をためるのです。また、TANDAは順番が大事です。最初のほうの順番になった人は、TANDAは、利息なしのローンになるのです。

そのグループで信頼の高い人、つまり、これまでにTANDAに参加してきた古参の人や、親の人が、若い番号をもらうことが多いようです。

このTANDAは、書かれた契約を必要としないので、不法移民や文盲の人たちにとっては、たいへんありがたい仕組みです。また、低利息の銀行に預けるよりも、TANDAに参加したほうが、仲間内で信頼を積み上げるというメリットがあるという理由でTANDAに参加する人もいるようです。

アメリカには面白いカルチャーがいっぱいありますね。
by toshishyun | 2008-11-18 14:08 | アメリカ文化