ふきだし法の立ち位置
2010年 06月 13日
亀岡先生によって開発されたこの実践は、開発から20年を経て、現在も先生ご本人の手で理論化が進められており、次のようなさまざまな学習科学の知見が援用されている。議論の共同体(Discourse community)、互恵的学習(Reciprocal Learning)、最近接発達領域(Zone of Proximal Development)、協同的・反省的学び(Collaborative, Reflective Learning)、などなど、どれも学習指導要領でいうところの思考力・判断力・表現力の育成と生きる力につながる理論ばかりである。私がこれらの理論に触れたのはもう10年近くも前のことであるが、このふきだし法という実践に触れていると、実に自然にこれらの理論が適用できるものなのだなぁという感想が湧いてくる。
話は変わるが、授業研究というものは、学習理論と授業実践が交差する領域に存在する研究分野であるが、ふきだし法という指導法は学習理論と授業実践をつなぐ糊のような役割をしていると感じている。とすれば、ふきだし法は授業研究の方法としても有用な役割を果たすはずで、ふきだし法を活用した研究授業によって授業研究の質の向上と教師の成長をはかることができると踏んでいる。伝統的な授業研究の研究手法に加えて、ふきだし法を方法論に加えることは、授業研究の研究をすすめてゆくうえで画期的な扉を開くことができるのではないかと期待できる。
ふきだし法については、今年は東大阪の某小学校に関わらせていただくことになっているが、地元兵庫県でも実践が進めばよいなぁと思うしだいである。私としては、そうやっていろいろと関わってゆくなかで、授業研究のあり方、教師集団の成長、ICT活用の推進、そういったものを追求・考察してゆくというスタンスが取れればよいと思っている。