中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

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ワシントン州 尊厳死

アメリカではオレゴン州とワシントン州で、医師の幇助による尊厳死が認められています。

ワシントン州はイチローのシアトルマリナーズで有名ですが、3月に尊厳死を認める法律が成立しました。

今朝出勤しながらラジオを聞いていると、そのワシントン州で、末期がんの女性が、医師の処方による薬品によって尊厳死したことがニュースで報じられていました。初の事例ということです。

尊厳死については賛否両論ありますし、あまり深く考えたことはないので、ここで私見を述べることは控えたいと思います。ただ、アメリカで末期がんや不治の病に罹った人とその家族にとって、ワシントン州やオレゴン州が存在するという事実は、人によっては救いになることだと思いました。

日本だと、国内すべてを同一基準にしなければいけませんが、アメリカはよくも悪くも、各州で法律が大幅に異なっています。自分の生き方や家族の生き方に大きく影響するような課題に対して、選択肢が与えられているというのは、いいことだと感じます。

すべての問題に対して、完璧に対応できる政治体制というものはありません。アメリカのような連邦制がよいのか、日本のような中央集権がいいのか、それは何をとって何を捨てるのかという問題のように思います。今日のこのニュースを見て、多様な人の多様な生き方に応えるような体制になっているのがアメリカという国なんだなぁと改めて思いました。ただし、いちいちバラバラなので、何か事があるたびに、日本よりひと手間多いのも事実です。
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by toshishyun | 2009-05-23 14:41 | アメリカ文化

メモリアルディ

月曜日はメモリアルディで、アメリカは3連休を迎えます。メモリアルディは、戦没将兵追悼記念日という日で、各地で戦没将兵の追悼イベントが行われるだけでなく、家族で集まってバーベキューをしたり、レクリエーションをしたり、墓参りに行ったりします。スタンフォード大学も月曜はお休みです。

僕の友人たちでも、東海岸や南部に実家がある人は、何人か実家に帰っちゃいました。日本で言うところのお盆みたいなもんです。

そして、なぜかシートベルト着用キャンペーンが始まります。今日の出勤時にも、ラジオのニュースでシートベルトをつけましょうという報道が何回もされていました。

この日からアメリカは夏が始まります。

なお、景気はますます悪化しています。カリフォルニアは、火曜日に、景気悪化対策の5つの法案が、住民の直接投票によって否決されてしまいました。税金も上げられない、支出も抑えられない、教育や精神障害者の援助予算として貯蓄されていた緊急出動用のファンドにも手をつけられない、で、どうしようもなくなってしまいました。識者の間では、今回の投票を批判する意見が多いです。あたりまえです。

リーマンショック以降、しばらくは、「景気はまぁ1年もすれば持ちなおすだろう」などという楽観的な意見がけっこう聞かれていたのですが、もはやそんな意見は少数派。火曜日のカリフォルニアの直接投票の結果によって、さらに不況感が強まったという感じです。これから、大量の解雇が始まり、カリフォルニアの失業率は当面持ち直しそうにありません。
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by toshishyun | 2009-05-23 05:25 | アメリカ文化
【8】「マスクをすると仕事ができません」。新型インフル対策の温度差:日経ビジネスオンライン

日本はかなり欧米化されているので、こちらに来ていても、食べ物や習慣などは、文化の違いがなかなか見えにくいと思うことがあります。もちろん、レストランでチップを払うとか、家のなかで靴を脱ぐとか、銃持っちゃいけないとか、そういう違いはたくさんありますし、「ほぅ、そうなのか」と思うこともあります。しかし、なんかこう、「本質的に決定的に異次元に文化が違う!」って強く感じることはそれほど多くありません。むしろ、「結局人間の文化だから、違うところはあっても、共通するところのほうが多いよなぁ」って思うことのほうが多いです。

これは、単に鈍感なだけなのか、それともすでにかなりアメリカ文化に溶け込んでいるからなのか。

ところが、人の本性って、危機のときに出るっていいますが、今回の新型インフルエンザは、外から見ると日本人の本性がよく見えるし、日米の違いが見えて興味深いなぁと思っています。


 「米国でマスクをしていると仕事になりません。やむを得ず、自分の判断で外しましたので、ご報告します」


こんなことを律儀に報告するところが、日本人だなぁと思います。

この報告メールは、日本人の目で見ると、会社の通達に忠実な社員と評価できますが、外からの目で見ると、コントに見えるようです。なんでもかんでもトーキョーに問い合わせる日本のビジネスマンというのは、アメリカのジョークにもちょくちょく出てきます。(例えば、無人島で美女と二人きりになったサラリーマンが、どうしていいかわからずにトーキョーのホンシャに問い合わせる)。この手のジョークを読んで、僕は80年代のバブル期のジャパニーズビジネスマンを想像して笑っていたのですが、最近のインフルエンザの反応を見ると、ちょっと笑えなくなってきました。

しかし、いろいろなところで「日本人は過敏すぎるんじゃないか」という意見があっても、「欧米人は鈍感すぎるんじゃないか」という意見はあまりありませんね。どこかで自分たちでも、「うーん、過敏すぎるけど、人に迷惑かけたとか言われたら嫌だし面倒だからとりあえず言われた通りにしとくか」って意識もあるのかもしれないですね。

関係ないですけど、致死率0.4%のインフルエンザでもここまできっちり対応するのなら、過去15年で45万人以上が死んでいる、「自殺」の問題を、日本人として、なんとかしなくちゃいけないなぁと思います。

パンデミック寸前のインフルエンザにかかる可能性よりも、一生のうちに自分や身の回りの人のうちの誰かが自殺する可能性のほうが高いわけで、そういうことを心配しなくちゃいけない社会はちょっと悲しすぎます。

いまのところ、新型インフルエンザは全世界で死者80名。これは軽く扱える問題ではありません。しかし、統計的には、日本では、自殺で毎日100人ずつ亡くなっていることになります。過去15年の45万人という数字は、神奈川県横須賀市や愛知県豊田市や兵庫県西宮市のような、中核市と呼ばれる規模の都市で、住民が全員自殺したのと同じくらいの数字になります。これは自己責任ではなく、社会問題でしょう。

自殺が多いのは、今度のインフルエンザみたいに、日本人は「人に迷惑かけちゃいけない」という意識が強すぎるからかなぁ。周りからのほんの少しの理解と愛情で救えるものなのになぁ。話は脱線しましたが、そんな風に思います。
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by toshishyun | 2009-05-21 01:02 | その他
新型インフル 「外出あかんで」休校で先生が繁華街見回り(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

日本の先生は本当によく働く。生徒の社会性の部分まで引き受けてる。こんなの、アメリカでは絶対にありえない。労働組合が許さないし、かならず高額な手当てを要求される。なにより、学校は勉強の面倒を見るところで、学校外の生徒の行動に干渉するという意識もない。

苅谷さんの「よくばりすぎる日本の教育」にもそういうことが書いてあったっけ。欧米では少年刑務所が多いが、日本では学校が非行の処理をするから、そのぶん少年刑務所が少ない.

しかし、ここまでやる必要があるのか?子どもたちが外で問題起してたらすぐに学校に通報する人がいるしなぁ。いったい親は何やってるんだ?

日本は、学力で言うと、PISAでもTIMSSでも、両方で高得点を挙げている数少ない国で、PISAで第一位のフィンランドでも、TIMSSは中段に沈んでいる。学力でもそれだけの成果をあげ、しかも生徒指導では、世界に類をみないほど、生徒の社会性や学校外の行動まで面倒をみる。それだけ良い教育を日本は持っている。

もっともっと学校や先生は評価されるべきだと思う。政治家のパフォーマンスにつられて、学校を叩きまくって、学校や先生はダメだというメッセージを発し続けるマスコミや、それを鵜呑みにする人たちには本当によく考えてほしい。そう思う。
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by toshishyun | 2009-05-21 00:39 | その他

H1N1

新型インフルエンザ、ついに我が地元神戸でも見つかりました。

GoogleMapで処理しきれなくなったのか、FluTrackerという専用のサイトがで、現在の感染の広がり具合を地図で見られるようです。

http://flutracker.rhizalabs.com/

日本はこんな感じですね。しっかり神戸がプロットされてます。
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そしてアメリカは現在こんな感じです。あーあ、早く後退期が来たらいいのに。
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しかし、それぞれの報道の騒ぎ方を見ると、地図とはまるで反対のような感じがします。
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by toshishyun | 2009-05-16 16:25 | その他

算数の教科書

少し前に、Palo Alto市の小学校で使われる算数教科書が Everyday Mathという教科書に決まりました。Palo Altoでは、7年に一度、教科書を選定します。

保護者、教員、校長、学区の職員からなる委員会で選定しますが、その選定を巡ってはインターネットのフォーラムで、保護者同士のアツイ議論が交わされてきました。僕の研究所の同僚も、自分の子どもに関わることですから、かなり気になっていたようです。

なぜこんなにみんなアツくなるのか、それは、アメリカの場合は、全国統一の学習指導要領がないため、教科書が変わるということは、カリキュラムそのものが変わるということを意味するからです。教える内容、その教え方、教え方の背景にある教育観・学習観、どの学年でどういう順番で教えるか、そういったものが根底からがらっと変わるわけです。

そして、これはアカンと保護者が判断したら、我が子を守るために、自分たちなりの教科書を買ってきて子どもを教えたり、公文に子どもを通わせたりします。そうやって家庭で自衛するわけです。

そして、どうやらこのEveryday Mathは「アカン」教科書だと判断する保護者が多いようで、公文は今後かなり儲かりそうだということです(笑)。

そのあたり、いろいろ調べてたら、シリコンバレーでお子様を育てておられるこの方のブログに行きつきました。

算数の教科書選定 http://blog.livedoor.jp/parsley777/archives/51597277.html

算数教科書 Saxon Math シリーズ 
http://blog.livedoor.jp/parsley777/archives/51622370.html


ものすごい労力を使って調査されています。すごいですね、母は強しです。読んでいて、いろいろと新しいことがわかりました。
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by toshishyun | 2009-05-13 10:47 | ラーニングとテクノロジー

文献管理ソフト Zotero

論文や資料の整理に困っていませんか?僕はとっても困っています。読んだ途端、内容もタイトルも、どんどん忘れていってしまいます。後で、「あー、あれ、どこいったかなぁ」とか、「これどっかで見たような・・・」とかで、結局、「ま、いいや」になることもたびたび。

僕は以前、EndNoteという文献管理ソフトを使おうとして挫折したことがあります。バージョンが頻繁にかわるうえに、操作がややこしくて、かえって面倒だったからです。研究所の同僚に聞いても、どうやら事情は同じようです。

かくして僕は、[annotated bibliography]なる名前のワードファイルを作り、そこに文献情報を手入力で入れて管理してました。これはこれで面倒です。

そこに強い味方が現れました。Zoteroという、Firefoxのプラグインです。かなり前からあるようですが、ちょっと前に知りました。

Zoteroは僕のような面倒くさがり屋さんでもサクサク使える頼もしいやつです。何より僕はブラウザを立ちあげっぱなしなので、敢えて別のソフトを立ち上げなくてもいいZoteroは便利このうえないソフトです。

さて、画面ですが次のような感じです。
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こんな風に、操作時には、ブラウザの下半分に表れます(全画面表示も可)。インターフェースはiTunesを意識しているようで、iTunesに似た操作で資料を管理します。

論文などの文献だけでなく、ウェブページ(ホームページ)もスナップショットを撮って管理することができます。

資料の登録方法ですが、まずは、オンラインデータベースで資料を検索します。僕は教育学が専門なのでEricというデータベースをよく使います。(日本ではCiNiiが対応しているとのことですが、ちょっと前にやってみたら、なんかうまくいきませんでした。改良されているといいですが)。

抄録のページを表示すると、アイコンがアドレスバーの端っこに表れるので、それをクリックするだけで、タイトル、著者名、出版社名などといった文献の情報とともに、その文献が「アイテム」として、Zoteroに記録されます。とっても簡単です。

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記録されたアイテムには、添付ファイルをつけたり、メモやタグを追加することができます。その文献がPDFファイルで利用できるときは、PDFファイルをパソコンに保存しておいて、そのファイルへのリンクを登録しておきます。メモやタグは後から検索できます。これが便利なんですね。いままでテキストファイルやワード文書として書きためてきたメモも、添付ファイルとして登録できるので、Zotero導入前の努力が無駄にならなくてすみますね。

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エントリーに、PDFと画像ファイルをを添付した場合は次のような感じになります。
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<参考文献リスト>
もちろん、参考文献リストを作ることもできます。ワード形式、HTML形式など、いろいろなフォーマットに対応しています。GoogleDocsやEndNoteにもエクスポートできます。クリップボードにコピーして、好きなソフトに貼りつけることもできます。

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こんな風に、参考文献リストに加えたいアイテムを選んでいって、右クリックし、[アイテムから参考文献リストを作成]を選ぶだけです。APA, MLA, IEEEなど、10種類以上のフォーマットに対応しています。


いつでも、Zoteroを開きたくなったら、画面右下のアイコンをクリックするだけです。
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先ほども言いましたが、ウェブページもスナップショットを撮って登録できたりします。

詳しくは次のリンク先をどうぞ。

Zotero: Firefox で簡単に文献管理

Zotero公式サイト

ネットで情報を「サッ」と収集、「パッ」と整理のFirefoxアドオン「Zotero」
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by toshishyun | 2009-05-12 14:40 | ラーニングとテクノロジー

分数の問題です

あなたは次のような問題を解くことができますか?

「あなたは、もらった給料のうち、1/5(5分の1)を食費に使いました。残った分の1/2を家賃にまわしました。さらに、家賃を支払った残りの7/10を遊びに使いました。すると手元に30000円残りました。さて、給料はいくらだったでしょう」

これは、友人が現在行っている調査で使われた問題を、内容を変えないで少しだけ修正したものです。小学校高学年程度の問題です。

友人の調査では、10人中、ヒントなしで正解できたのは1人、ヒントをもらって答えられたのが1人、ということで、正解は合計2名だったということです。

問題はこの調査の対象が誰だったかということです。

これは、アメリカの、とある平均的な大学の教員養成課程の学生の結果なんです。しかも、分数に関する授業を受講した直後の調査です。

驚きましたか?僕は驚きました。

しかし、これは特殊なことではありません。一般的に言って、アメリカの小学校教員の算数のレベルはだいたいこんな感じなのです。

もっと簡単な問題、たとえば、

「お米がカップに3/4入っています。いま、入っているお米の1/2を使いました。さて、使ったお米は何カップ分でしょう」

のような問題でも、正解は10人中4人です。

聞いたところ、算数に難ありの学生でも、ほぼ全員が現場の教員になります。

ただし、算数ができないからと言っても、こっちの先生は、算数に関する議論になったときに、驚くほど雄弁に語ります。なんとかストラテジーがどうとか、特別支援教育の子へのアプローチとか、個別習得がどうとか、エンゲージメント(取り組み)がどうとか、問題解決方略がどうとか、プロポーショナルリーズニングがどうとか、マイノリティーのための算数がどうとか、なんせ、話だけを聞いていれば、とてつもなく高度なことを話しているかのように聞こえます。

算数そのものの定義すらひっくり返そうとする人もいます。たとえば、計算ができなくても、しっかりと考えを図などで表すことができなくても、算数っぽい考え方を少しでもしていて、算数っぽい図を少しでも描いていたら、それは算数をしていることになるんだというような、すり替えです。出来なかったことでも、見方を変えて、あたかも出来たように見せるわけです。

けれどやっぱり、肝心の、算数が出来ないという冷たい事実は覆せないのです。

アメリカの算数教育は問題が山積みです。日本よりも深刻な問題がいっぱいあります。

そこに果敢に挑んで、一生懸命研究をすすめている友人たちは、本当に大変な仕事をしているんだなぁと実感することしきりです。
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by toshishyun | 2009-05-07 15:13 | ラーニングとテクノロジー

これは?

これはなんでしょう?

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スクロールいっぱいさせてすみません。あやしい広告のホームページみたいになってしまいました。

答は、これです。

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いつもいってる近所のオーガニックスーパーに売っていました、ダチョウの卵です。29ドル(約3000円)なりです。食べてみたい。

写真の下側に写ってるのが普通の卵ですから、ずいぶん大きいです。持ってみると、ざらざらとしており、卵の殻というよりは、プラスチックのようでした。これどうやって料理するんだ・・・と思ってたら、それぞれの卵に、調理法を書いたウェブサイトへのラベルが貼ってありました。卵とウェブのメディアミックスという辺りがなんだか面白い。

http://www.tryostrich.com/

ページを見てみましたが、ダチョウの肉まで売ってるのか・・・。売れるのだろうか・・・。
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by toshishyun | 2009-05-05 13:57 | アメリカ文化

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遅ればせながら、研究用に一台入手しました。ホントは前から研究所に転がってて、いつでも持って帰れたのですが、契約するだけのお金もないので放置していました。そしたら今日、通話契約済みのSIMカード込みで貸してくれました。通話料・データ通信料は大学が出してくれます。もちろん、プライベートの通話は自分の携帯でしますよ。

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僕のいる研究所では、5月に入ったら、10台ほど、ボストンにいる研究協力者に配ります。研究終了後は回収の手間とコストを省くために、なんと御進呈!太っ腹じゃないですか!
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by toshishyun | 2009-05-01 13:10 | ラーニングとテクノロジー