中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

<   2009年 03月 ( 15 )   > この月の画像一覧

授業研究インタビュー

アメリカの授業研究について、引き続き調査中です。先日はインタビューをしました。先方は、ベイエリアの授業研究に10年前から関わっておられたとても親切な方で、ていねいにお話をしてくださいました。

サンフランシスコベイエリアの授業研究も9年目を迎えました。新しい取り組みが3年で飽きられるアメリカにあっては、比較的長く続いている取り組みだと言えます。いま、ベイエリアの授業研究は、学校の質を保つための手段としての新たな役割を持ちつつあります。

アメリカの学校の大きな問題は、管理職の転職です。サンタクララ郡には20の学区があるのですが、そのうち最も安定している9つの学区でも、この3年ですべての管理職がいなくなってしまいました。アメリカでは、管理職の交代=何もかも一からやり直しという意味を持つわけですから、大変なことです。

そんな中において、授業研究というのは、「みんな」で取り組むところに意義があるわけです。優秀な先生がいなくなったり、管理職が変わったとしても、共有された知としての授業方法、生徒の理解に始まって、学校としての課題の共有が継続する限り、学校の質は保たれてゆくわけで、そういう役割が期待されているのです。

--------------------
2009年も始まったばかりだと思っていたら、3月ももう終わりですね。新しい年度が始まります。年度が終わるのは寂しいことですが、また新たな目標を見つけて頑張っていきたいものです。人の倍頑張っても人の半分のことしかできませんが、来年度も少しずつ研究をすすめていこうと思います。
[PR]
by toshishyun | 2009-03-31 13:36 | ラーニングとテクノロジー
WBC、日本が勝ちましたね。実はドジャースタジアムまで見に行ってました。はい。

内野席、3塁側の日本ベンチのすぐそばから、日の丸を持って応援しました。アメリカの球場は客席とフィールドが近いので、選手の表情まで見えて本当に迫力がありました。

試合がおわったのは10:30ごろ。

写真は、3塁ベース上のイチロー選手、バッターボックスに立つイチロー選手、マウンド上のダルヴィッシュ投手です。

e0149551_1718922.jpg

e0149551_17183786.jpg

e0149551_17192688.jpg

[PR]
by toshishyun | 2009-03-24 17:19 | その他
同僚の調査のお手伝いを兼ねて、高等学校の環境教育の授業にお邪魔してきました。今回の調査は、水質調査の機器と、録音装置内蔵型ペンの実地テストでした。授業の中で、これらの機器が実際にどのように使われるかを調査して、学習システムやカリキュラムの開発につなげていきます。今回お邪魔したこの高校には、校庭に小川と池があり、それぞれのPh、Co2含有量、導電率、温度を測定して比較しました。測定をはじめてみると、絶えず変動する測定表示をいつの時点で読み取ればいいのか、小川の水を汲むときには、一体どのあたりの水を汲めばいいのかなど、実際にやってみないと出てこない疑問が生徒からいろいろと出てきました。また、生徒の口から出てくる言葉も、それまでの学習の理解度によってまちまちです。教育現場というのは、そこに居る人や、その固有の環境に左右される要素がとても多いことを改めて実感しました。

e0149551_10142396.jpg


今日の授業で気に留まったのは「Environmental Injustice」(環境的な不正義)という言葉です。例えば、貧しい地域に程度の悪い水しか供給されない、とか、貧しい地域の川はごみ処理の問題などから他の地域より汚染されている、というようなことを指します。今日の高校は裕福ではない家庭の子どもたちが多いので、こういう切り口で授業がされています。

ちなみに、今日使った「録音装置内蔵型ペン」はとても面白い製品です。Livescribe Smartpenといいます。ノートに文字を書きながら、同時に録音をします。あとでノートの該当個所をペンでタップすると、それを書いたときの録音が再生されます。もちろん、書いたことや録音したことは、パソコンにアップロードして整理できます。

http://www.livescribe.com/

日本では25000円くらいするようですが、こちらでは150ドルくらいで購入できます。Amazon.comの国際配送だと、日本で買うよりも安く買えます。
[PR]
by toshishyun | 2009-03-20 10:28 | ラーニングとテクノロジー

数 算数教具

Digi Blockという、小学校で使われる数を学ぶ算数教具についての話を、開発者の息子さんのGavi Kohlberg氏から聞きました。アメリカの学校ではBase-10ブロックがよく使われますが、Digi Blockは、数の位どりの概念をより忠実に表わした教具だということです。

e0149551_325692.jpg

10の位をあらわすカプセルの中には、1の位を表すカプセルが10個入ります。100の位をあらわすカプセルの中には10の位を表すカプセルが10個入ります。それぞれの位のカプセルは、大きさは違えど形は同じというところがこの教具のポイントです。また、それぞれのカプセルは、その下の位のカプセルが10個入るまでは閉めることができません。シンプルですが、よくできています。アメリカ、カナダ、イスラエルなどの10000以上の学校で利用されています。

Digi Block - See the Math!
[PR]
by toshishyun | 2009-03-19 03:01 | アメリカ文化
今年の3月13日はpink slip fridayと言われています。pink slipとは解雇通知。年度末に教師や学校事務員や学校に関わる要員(清掃員など)を解雇する場合、3月15日までに解雇通知を送らなければならないのですが、今年は15日が週末にかかっているため、実質13日に解雇通知が送られます。

今年はSanta Clara郡だけで1000人以上が解雇通知を受けたということ。州内では27000人(例年は10000人)ともいわれています。表彰されるような優秀な教員も混じっているのが今年の特徴です。

このような大量解雇は、不景気による予算の削減だけが理由ではなく、不景気への不安によって団塊世代がなかなか辞めない(アメリカには定年退職という制度がなく、自分で退職の時期を選びます)ために、若い教員をより多く解雇しなければならないという理由が背景にあります。
[PR]
by toshishyun | 2009-03-18 06:12 | その他
本日、ディスカバリーが打ち上げられました。打ち上げの様子はNASAのテレビ中継を通じて見ることができます。

毎回、打ち上げの実況で、アナウンサーが、そのミッションに合った「決めぜりふ」を言います。この決めゼリフがいかにもアメリカっぽくて好きです。

今回のミッションはSTS-119ですが、こんな感じでした。

"3, 2, 1 ・・・ there's ignition and lift off of the space shuttle discovery, taking the spece station to full power for full science!"  (3, 2, 1 点火、打ちあげです。スペースシャトルディスカバリー、科学の進歩のために宇宙ステーションをパワー全開に!)


[PR]
by toshishyun | 2009-03-16 15:03 | アメリカ文化

アメリカの日曜日

今日は日曜日。データ分析中ですが、音消してテレビつけてます。

サンディエゴペトコパークWBC、日本対キューバ。現在日本が3点を先制したところです。もう夏時間になり、外はとても明るいです。夕刻にはスペースシャトルディスカバリー(STS-119)が打ち上げで、現在ケネディスペースセンターで最終調整中だそうです。ネットのNASA TVでときどき確認をしています。

アメリカの休日という感じがします。
[PR]
by toshishyun | 2009-03-16 06:12 | アメリカ文化
いま、アメリカの小学校で行われた算数の授業研究の観察を整理しています。思い返すと、アメリカの算数授業の特徴がおおまかにつかめます。

まずは、ワークシートを多用すること。ワークシートには、その授業で行うすべての問題が掲載されています。また、場合によっては問題の解決に必要な表とともに、指示が書いてあったりします。それから、個人作業に充てる時間が長いです。個人やグループで、ワークシートを最後までやりきってから、みんなで発表しあう。つまり、途中経過をみんなで確認しないんですね。とにかく、まずは最後まで自分のグループでやりなさいというスタイルです。それから、早くできた子には、追加の発展問題を用意しています。そういう発展問題のなかには、本当にひまつぶしのためだけで、あまり中身のない問題もあるそうです。そういうのはスポンジ問題といわれます。時間を吸い取るスポンジの役割をするんですね。

結局、集団での授業という形態はとっていても、やっぱり個人主義の色合いが強いんですね。

こういう形の学習は、表面的には個別の能力にあったやり方ととれますし、アメリカの先生もそのように捉えています。しかし、こういうやり方はいろいろと問題を抱えています。
[PR]
by toshishyun | 2009-03-14 15:20 | ラーニングとテクノロジー
小学校は読み書きそろばんだ!計算力ができれば学力があがるんだ!って、それほんと?

ちなみに、この記事は、いま、アメリカの授業研究のデータ分析を始めていて、それがたまたま引算の授業だったので、ついでに書いてます。

さて、計算力至上主義者は、

60-20 = ?

これができれば、その子は、何も教えなくても自動的に次の問題が全部解けるようになるというわけですね。

1) あるバスに60人のっていました。20人おりました。さて何人になったでしょう。

2) あるバスに60人のっていました。何人かがおりたので、20人になりました。さて何人おりたでしょう。

3) あるバスに20人のっていました。何人かがのってきたので、あわせて60人になりました。さて、何人のってきたでしょう。

4) あるバスに何人かのっていました。20人のってきたので、あわせて60人になりました。さて、何人のっていたでしょう。

5) あるバスに20人のっていました。バスにのっている人数をあわせて60人にするには、あと何人のるとよいでしょう。

6) A君はみかんを20個、B君はみかんをいくつか持っています。二人あわせると60個になります。B君はいくつみかんをもってるでしょう。

7) A君はみかんを20個、B君はみかんを60個もっています。B君はA君よりもいくつ多くみかんをもっているでしょう

とくに、4つ目。足し算してしまう子がいます。6つ目もかな。「あわせて」って言われるとすぐ足し算したくなるんですね。

ええ、計算力はもちろん必要です。それは間違いない。計算の反復練習も大いにやらなければいけない。それは僕も大いに同意です。

だからといって、それで十分ではない。これ、当たり前だと思うんです。でも、意外と当たり前じゃなかったりします。

「 足し算、引き算なんて、単なる数字の操作。文章題ができないのは子どもの文章力の問題。本を読ませればいい」なんて乱暴なこと言う人もいるくらいですから。

計算を鍛える→基礎的な学力アップ、というような雰囲気は、「○○計算の取り組みで学力アップ」みたいな見出しの新聞記事のせいでしょうか。ちなみに、○○計算の提唱者も、それだけで学力があがるなんて言ってません。

というわけで、こんなん当たり前だから投稿しないでもいいかとも思ったんですが、やっぱり投稿することにしました。こういう声は一人でも多い方がいいですからね。

それにしても、引き算をどう教えるかって、結構難しい問題ですね。

こどもたちに身近な例をあげればいい、っていう人もいます。それも必要なことでしょうが、それだけでは十分ではないと思います。例えば、上の文章題を、バスと乗客の問題ではなくて、子どもの好きなゲームソフトや野球やサッカーなんかに置き換えて作り直しても、問題を構成する概念的な構造をきちんと押さえて、そこにスポットライトを当てて教えない限り、何を例にあげても、わからないものはやっぱりわからないです。

あ、ちなみに、「こういうパターンの文章のときには、まずはここに書いてある数字を引く数に持ってきて、つぎにここに書いてある数字を引かれる数にもってきて、であとは計算したらいいんだよ」・・・なんて、文章のパターンに沿って数式に数を自動的に当てはめていく手順を丸暗記させて、反復練習でそれを定着させるようなやり方もダメです。これは、アメリカでよく見られるやり方で、失敗してるやり方です。これ、なぜダメなんでしょうか?一緒に考えてみてください。
[PR]
by toshishyun | 2009-03-12 14:37 | ラーニングとテクノロジー
仕事の打ち合わせメールを書いていて、困ったことに、primary(第一の), secondary(第二の)の次が出てきませんでした。答えは、tertiary(第三の)。あまり使いませんからね。

そういえば、昔読んだエッセーで、大阪のお好み焼き屋さんかなにかの壁のメニューで、「シングル」「ダブル」・・・「サブル」と書いてあったというのを読んで大笑いしたことがあります。答えはもちろん「トリプル」ですね。

アメリカは一昨日から夏時間で、一時間時計をすすめています。夕刻の7:30頃でもまだ明るいのですが、ようやく慣れてきました。
[PR]
by toshishyun | 2009-03-11 14:41 | アメリカ文化