中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

<   2009年 01月 ( 12 )   > この月の画像一覧

アメリカ DePaul 大学 高橋 昭彦 (Akihiko Takahashi)

日本の教育はとてもいい。とにかくいい。この事実は、もっと広く多くの人が共有すべきことだと思います。あまりにも自分達のことをないがしろにしすぎです。いいところをちゃんと理解して、そこを伸ばしていかないといけないと思います。

金融や法律だけでなく、教育もまた、日本人は欧米式を無批判に取り入れます。例えば、欧米ではすでに失敗している習熟度別授業があります。一周遅れで日本は習熟度別授業を取り入れていますが、これは将来的に大きな社会不安と社会的なコストを生み出す可能性があります。他にも、アメリカのように、「学校ごと」の成績を公開して競争原理を働かせようとしている知事さんたちもいますが、これにも僕は反対です(市町村が自分たちの判断で、地域への情報提供の一環として学校名を出さないで公開するのは構わないと思いますが)。理由は「公園めぐりから見えるもの」に書いてあるとおりです。(高橋さんの記事、格差に関するところも多くの人に読んで欲しいです)。

長い時間をかけて、日本の学校は、能力の異なる子どもたちがともに学び合うモデルを構築してきました。しかし、このようにして培ってきた教育の質の高さは、いったん崩壊してしまえば、それを取り戻すのに相当の時間がかかります。もしかしたらもう取り戻せなくなるかもしれません。実際、習熟度別授業や少人数授業が普及するにつれ、教師の教科指導力が育たなくなってきていると危惧をする声がすでにあがっています。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-29 10:54 | ラーニングとテクノロジー
2009 International CES:Palm、新OS「Palm webOS」とマルチタッチスクリーンの新携帯「Palm Pre」を発表 - ITmedia News

WebOSで、XHTML+JavaScriptでのアプリ開発が可能になりました。

さて、いま僕の研究チームでは、中学生を持つ家庭向けのソフト開発をしていますが、開発プラットフォームの選択で揺れています。

選択肢は次のとおり

1) iPhone
2) Nokia N95 + FlashLite
3) Palm WebOS
4) Google phone (Java)

携帯のアプリ開発をするときには、日本でもプラットフォームを何にするかは頭を悩ますところですが、アメリカではもっと悩ましい話になります。いま考慮しているのは、大体次のようなことです。

1) マーケットシェア

僕の住んでいるベイエリアの中で、Palo Altoなどの裕福な地域では、iPhoneのシェアが非常に高く、中高生でもわりと持っています。iPhoneを開発プラットフォームに選ぶと、割と幅広い人たちに使ってもらえます。しかし、iPhoneで開発したものは、iPhoneでしか動きません。Nokia N95+FlashLiteや、Palm WebOSの場合は、他のモデルで動かすことができます。ただし、WebOSはまだ販売されていませんので、マーケットシェアは0ですGoogle Phoneは昨年末にやっと端末が出ました。シェアはまだそんなにありません。ちなみに、そもそも、iPhone, Nokia, Palm WebOS、Google Phoneともに、このようなハイエンドモデルのシェアそのものがあまり高くありません。日本ではもはや探すのも大変な第二世代のモデルも結構現役で使われています。3G対応ではない端末もリテールで普通に売られています。

2) 開発効率
開発効率は次のとおりです。

 xhtml+JavaScriptやxhtml+CGI > FlashLite > Java, Cocoa/C++

右に行くにしたがって、開発時間は倍倍になります。開発効率から言うと、Web OSにできればいいのですが、まだ販売されていません。iPhoneは、ようやくAppleが開発環境を公開したものの、開発者同士の情報交換がAppleによって制限されているため、何か問題にあたってもほとんど支援なしに解決しなければなりません。そういう開発の不便さがあります。Google PhoneのJavaは、SDKがまだ揃っていないような様子です。FlashLiteは、開発はしやすいのですが、プルダウンメニューのようなUIコンポーネントが動作しませんので、不便です。

3)将来性

アメリカでは、先に書いたように、第二世代・第三世代が入りまじっていて、しかも、Web OSとかGoogle phoneのような次々新しいプラットフォームの端末が登場し、しかもiPhoneのような「閉じた」環境の携帯が日本以上に広く行きわたっている・・・。もう、どれに将来性があるかなんてわからん!すぐにころころあっちに行ったりこっちに行ったりする!

プラットフォームを超えてたくさんの人に使ってもらえて、しかも末長く将来に渡って・・・なんていうのは望みすぎでしょうか?商用のソフトじゃないんです。教育用のソフトなんです。大手のソフトウェア会社のようにバカスカ投資して開発できるわけでもないし、移植のために充分な人員がいるわけでもないんです・・・。

え、ウェブアプリにしたらいいやんって?アメリカってデータ通信が日本みたいに安くないから、ウェブアプリにもなかなかできないんですよ。

・・・僕個人の要望としては、iPhoneはやめてほしい・・・。開発したソフトを日本に持ってかえってもあんまり使えないから。できればFlashLiteにして!あぁ、けどiPhoneになりそうな予感。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-28 17:16 | ラーニングとテクノロジー

モラルとセキュリティ

10代のネット利用を追う: 小学校でネットの約束事の授業~ニフティの「情報モラル教育」

ちょっと古い記事になりますがが、前から思っていたことをメモ。ちなみにこの記事は、ネット詐欺にかからないようにするにはどうしたらいいかってのを、ニフティが小学校に出前講義したというもの。

これは情報モラル教育じゃなくて、情報セキュリティ教育じゃあないのかな?

この二つ、混同されることが多いけど、しっかり区別すべきだと思います。情報セキュリティ教育は防犯教育であり、情報モラル教育は社会的発達を促す道徳教育です。

セキュリティは自分を守る防衛の話であるのに対して、モラルは他者や自分の属するコミュニティーとの関わりかたの話です。

家庭生活に例えると、セキュリティは、泥棒に入られないためにどうしたらいいかとか、訪問販売にひっかからないためにはどうしたらいいかという類の話ですが、モラルは、マンションの住人や地域の住民と協力してみんなでより良い生活を送るための知恵であったり心構えであったりするわけです。

セキュリティはとっても大事ですし、上記の記事のような取り組みはどんどんやったらいいと思います。しかし、情報モラル=情報セキュリティっていう認識のままで情報教育をしていくのはどうかなと思います。情報セキュリティばっかりやっていても、情報社会の中で人と関わりながら快適に楽しく生活をしたり仕事をしたりすることには全く繋がりません。むしろ、インターネット=怖い、パソコン=怖いという印象が一人歩きする危険もあります。

どうしてパソコンとインターネットに関する教育だけ、防犯教育と道徳教育がイコールになってしまうのでしょう?なまじカタカナにしないほうがいいんじゃないかな?そうだ、情報防犯教育、情報道徳教育って日本語で言えばいいんだよ!
[PR]
by toshishyun | 2009-01-28 17:04 | ラーニングとテクノロジー

Lesson Study Group at Mills

日本の学校ではあたりまえの、先生がお互いの授業を見学して授業の腕を磨いてゆく授業研究。その歴史は大正時代にまでさかのぼることができます。アメリカでは10年前、日本から授業研究が輸入されました。

Lesson Study Group at Mills College

アメリカ、ミルズ大学授業研究グループのページを、2月に授業研究を見に行くのでまとめておこうと思います。ほとんど備忘録です。

***
アメリカで授業研究が始まったのは、1998年だが、ミルズの授業研究グループは1999年より活動を開始。サンマテオ・フォスターシティ学区における実践研究を中心に発展してきた。

現在の研究テーマは、研究成果を元に開発されたツールキットが、レッスンスタディに参加する教員にとって、教科内容に関する知識や経験を探し出して利用するために効果があるのかどうかついて。

このテーマに沿って、現在二つの研究が進行中。NSFの研究費で行われている研究では、比と多角形の面積の単元についてのレッスンスタディーのためのツールキットに焦点があてられている。IESの研究費で行われている研究では、分数を学ぶための算数的な表現方法について焦点が当てられている。これは、日本では当たり前のように利用されている数直線やタイル図のようなものがアメリカにはないので、算数・数学的な概念を学ぶためのより良い視覚表現を開発する必要があるからだと思われる。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-28 10:28 | ラーニングとテクノロジー
Welcome to ChezPanisse.com

日本でもオーガニックはすでに普及しきったような感がありますが、ベイエリアもオーガニックに対する関心はとても高いです。

オーガニック専門のWhole Foodsというスーパーマーケットは、いつも繁盛していて、ひっきりなしに車が出入りしています。普通のスーパーよりもちょっと高い目なので、小ざっぱりした格好の方がお客さんに多いのですが、それでもアメリカ人はスーパーの中に置いてあるものを、食べる食べる!スナック菓子の袋を開けて、ショッピングカートの上に置いて食べながら買い物をするなんてのはざらで、ツワモノはアイスクリームの大きな箱を開けて食べてたり、ランチボックスに入った料理を普通に食べています。スーパー全体が巨大な試食コーナーと化しています。従業員ですら、休憩時間に陳列してある飲み物を開けて飲んでいます。まぁ、しない人はしないんですけどね、もちろん。

え、僕?僕はたまに試食用に置いてあるオリーブを「毎回」いただいてるくらいですよ。あと、試食用のチップスとか。試食用ではないものを食べていないとはいえ、だんだん「食べるのがあたりまえ」みたいになってくるのが怖いですが。

話が脱線しましたが、そんななかで、ぜひ行ってみたいのが、ノースバークレーにあるChez pannisse(シェパニーズ)というレストラン。カリフォルニア料理の母といわれるアリス・ウォーターズが作った、「カリフォルニアで最初のカリフォルニア料理のレストラン」です。その日仕入れられたオーガニック食材を使って作るので、コースが1つだけというメニューだそうです。

1月は忙しいので、2月中旬くらいに行こうかと思っています。

ところで僕は、オーガニックは、数年前から始めています。水はミネラルウォーターを10年ほど前から飲むようにしていましたし、同じく食材には10年近く前から気を使っています。やはり、きちんとした食材を食べると味覚が変わってきます。

十数年前の学生の頃は、水は水道の水、食べ物は、ラーメンとかファーストフードなんかの、B級グルメと言われる外食や、スーパーの出来合いのものを食べることがおおかった(というかほとんど毎日)のですが、ある時期、食べ物の味がよくわからなくなってたことがありました。そういう期間が年単位で続いていたように思います。何回かの食事に一回、塩味以外ぜんぜん味が感じられないのです。いまから思えば、人工調味料などの取り過ぎで舌がおかしくなってたのだと思います。

それから、昔の僕は、「ちゃんとしたものを食べなさい」ということが理解できていませんでした。子供のころ、家庭で、「男なら(*)、出されたものは黙って残さず食べなさい」というしつけをされていましたので、食べ物をより好みをすること自体考えられないという性格もあって、なんとなくこう、オーガニックとか自然食とか、水はミネラルウォーターだとか、産地にこだわった食材だとか、あそこの店は上手いだのまずいだの、そういうケチなことにこだわることに嫌悪感を抱いていたという事情もありました。ごちゃごちゃ言わずに黙って食え、と、まぁそう思っていたわけです。

(*「男なら」、ってセリフはなにぶん25年以上も前のことですので・・・。いまならこういうこと言ってしつける親って少ないでしょうね。)

こういう前時代的な感性に学生の貧乏な懐具合がプラスされると、上記のように「味覚バカ」になってしまう危険があるわけです。当時は食育なんて言葉もありませんでしたしね。自分ではそれが日常になっているので気づいていませんでしたが、おそらく体調もあんまりよくなかったはずです。

まぁしかし、10年近く前に、いろんなきっかけで、自然食のものとか、きちんとした食材で作られたものを口にするようになって数か月が経ってから、明らかに自分の味覚が変わってきました。まず、レストランに行って出された水を飲むと、水道の水なのか、ミネラルウォーターなのか、浄水器を使った水なのかがわかるようになりました。レモンなんか入れてごまかしても、だいたいわかります。また、料理を食べたときに、MSGを入れて味をごまかしているかどうかもわかるようになりました。そして、「おいしい」と「それほどおいしくない」の区別がつくようになりました。自分の中に「まずい」というカテゴリーができることが幸せなことかどうかはわかりませんが、それ以上に、食のもたらす生活の豊かさというものに気づくことで、自分の感性が少しは豊かになった気がします。

それから、明らかに体調が変わりました。なんというか、倦怠感がなくなったような気がします。これは単に「気のせい」かもしれませんが、人間の健康にとって「気のせい」の果たす役割はとても大きいと思うので、それだけでも効果があったと思っています。

あぁ、でもやっぱりときどき、ファーストフードのハンバーガーとかポテトとかが死ぬほど食べたくなって、食べてしまいます(笑)。あのチープな人工調味料の刺激が欲しくなるんですね。ファーストフードはドラッグです。

あ、それから、自分の中に「まずい」というカテゴリーができた後になっても、僕は知っている人の作ったものは決してまずいとは感じません。無理にそうしようと思っているのではなく、ほんとうにまずいと感じないのです。そこには愛情が入っているからです。たぶん。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-26 05:16 | アメリカ文化
12月22日の自動車事故の処理がほぼ片付いたので、簡単にまとめておきたいと思います。

どなたか必要な方のためになれば、と思います。ただし、私自身もそれほどアメリカの保険制度などに詳しくないので、ここに書いてあることはあくまでも参考にしてください。

事故で気が重いうえに、アメリカの保険会社は何度もこちらから電話をしないと全然動かないので大変だと思いますが、きちんと手順を踏めばかならず解決することなので頑張ってください。

アメリカの自動車事故の処理の流れは大まかに次のようになります。

①事故現場での情報収集→②破損がひどい場合は牽引→③事故を保険会社に連絡してClaimをあげる→④Adjuster(担当者)が割り当てられる→⑤Liabilityが認められる(相手の保険会社の場合)→⑥事故車の修理の見積もりを受ける

①事故現場での情報収集
相手の免許証の番号、相手の連絡先、車種と年式、ナンバープレートとVIN、相手の保険会社と契約番号、可能であれば現場の写真を撮っておく

②破損がひどい場合は牽引
AAAに加入しておくと無料。相手に過失がある場合は、相手の保険会社が支払う

③Claimをあげる
相手が悪い時には相手の保険会社に。自分が悪い時には自分の保険会社に。ただし、相手が悪い時でも念のために自分の保険会社にもあげといたほうが・・・。Claimをあげると、Claim Numberというのをもらうので、メモしておく。事故の情報はすべてこのClaim Numberで記録されます

④Adjuster(担当者)が割り当てられる
アメリカの担当者はこちらから何度もつっつかないと動きません。なしのつぶてになったときには、「どうなってる?」という電話を何度も入れましょう。担当者が不在のときには、同僚に内線をまわしてもらって、同僚に話をします。

⑤責任(Liability)が認められる
相手の保険会社を利用する場合は、相手の保険会社が責任を認めなければいけません。このあたりの詳しいことは私にもまだわからないことが多いので、自分の加入している保険の担当者などに相談するのがいいと思います。

⑥事故車の修理の見積もりを受けます。
見積もりの金額が、市場価格を上回ったら全損です。市場価格はおおむねKelly's Blue Bookの価格になるようです。例えば、修理の見積もりが3000ドルで、市場価格が2500ドルの車だと、全損です。あなたの手に入るお金は、修理の見積もり額か市場価格のどちらか少ないほうになります。はじめから全損扱いになる場合もあります。その場合は市場価格分があなたに支払われます。

なお、自動車が運転不可能なほど損害を受けた場合は、レンタカーを借りることができます。このとき、レンタカー代は保険会社が負担してくれます。相手の保険会社の場合は、相手の保険会社が責任(Liability)を認めたときに限るでしょう。レンタカーの期間は、私の場合は、事故の全損の見積もりが通知されてから三日以内に返却することという条件でした。


以下は私の体験です。

*** 事故の状況 ***
2008年12月22日夜。駐車場に駐車中に、相手の車に前方から激しくあたられたというものでした。私は乗車していなかったので、もちろん完全に相手に非があります。なお、私の隣の車もあてられていました。周りには多くの目撃者がいました。私の自動車は大破しており、結論から言うと全損になりました。

DAY 1 12/22

*** 事故現場で ***
まず、事故現場では、速やかに相手の運転免許書の番号、相手の連絡先、保険会社の名前、保険の契約番号を聞きました。また、相手の自動車の型や年式、ナンバープレートとともに、VIN(Vehicle Identification Number)も控えました。VINは相手に聞いて教えてもらいましたが、フロントガラスの左下あたりのにも必ず記載されています。同様に相手にも同じ情報を教えました。

さらに、現場の写真を携帯で撮影しておきました。また、私の隣の自動車も被害を受けていましたので、名刺を交換して、なにかあったときにはお互いに証言をすることを確認しました。

事故の相手が警察を呼びましたが、今回の事故はスーパーの駐車場という私有地でしたので、警察は事故現場を確認しただけで、報告書は作成しませんでした。しかし、万が一のために警察官の名刺をもらっておきました。

私の自動車も相手の自動車も大きく破損していたので、AAAを呼んで、牽引(Toe)してもらいました。こういうときのために、AAAに加入しておくことをお勧めします。牽引先をどこにしますかと聞かれたので、とても困って、最初は「じゃぁ・・・うちの前まで」と言っていたのですが、大破した車を家の前に置いておくと、警察に持っていかれてしまうと言われました。そこで、牽引してくれるドライバーの所属している修理屋さんに持っていってもらうことにしました。

家に帰ろうにも車がないので、牽引してくれた会社の車で家に帰りました。

*** Claimをあげる***
次に、事故についてのClaimを保険会社にあげなければなりません。保険会社の事故連絡用の窓口に電話をします。自分に過失がある場合は自分の保険会社になります。相手に過失がある場合は相手の保険会社になります。

私はそういうことを知らなかったので、とりあえず自分の保険会社(Farmers)にClaimをあげました。このClaimは後ほどとりさげることになりますが、相手が過失を認めなかった場合は、最悪自分の保険会社に世話になることが予想されるので、いちおう自分の保険会社にもClaimはあげておくべきだと思います。

夜に事故をしたので、私が当日にできたのはここまででした。帰宅後、忘れないうちにパソコンにファイルを作って、この日に取り交わした情報をすべて入力しておきました。これは大切なことです。なぜなら、この後、さまざまな担当者が現れるからで、それらの情報をきちんと整理しておかないとわけがわからなくなるからです。

DAY 2 12/23

*** 相手の保険会社にClaimをあげる ***
さて、次の日の朝、自分の保険会社のいつもの担当者に事故の話を報告したところ、相手の保険で処理をしたいのであれば、相手の保険会社にClaimをあげなければならないことを知り、遅ればせながら、急いで相手の保険会社(USAA)にClaimをあげることになりました。

この時点で、事故現場のもう一人の被害者に連絡をとったところ、彼はすでに相手の保険会社にClaimをあげた後でした。彼から担当者(adjuster)を聞きだし、そこに電話をしました。しかしこの担当者がいつまでも不在だったため、別の担当者に内線をまわしてもらって、自分のClaimもあげました。(USAAの電話は、担当者不在の場合は留守番電話になり、そこで0をダイヤルすると別の担当者に繋がります)。Claimをあげたら、Claim Numerというものをもらいます。これは事故の番号になり、この後ずっと必要になるので大切にとっておきます。

ところで、相手の保険会社とのやりとりなんですが、自分の保険会社の担当者を通してやるか、自分でやるかのどちらかになりますが、これは自分が加入している保険会社によって違うようです。私が加入している保険会社は、基本は自分で相手の保険会社と交渉をしなければなりませんでした。しかし、いつもの担当者が親切な日本人の方でしたので、一緒に交渉を手伝ってくれました。ただ、運悪くこの担当者が、次の日からクリスマス休暇に入ってしまい、結局しばらくは自分で交渉することになりました。

さて、保険会社に対してclaimをあげると、その事故に対してadjuster(調整者)が担当者として割り振られます。そして、adjusterに事故の状況を話します。これをstatementというそうです。(先にも述べたように、私の場合は、相手の保険会社に対してはすでに別の被害者がclaimをあげていたので、最初からadjuster(の代理)に直接連絡をしました)。

なおこの時点で、事故の相手は保険会社に事故があったことを連絡していたものの、詳しい状況を話しておらず、まだ相手からのstatementがあがっていない状況でした。この状態では、相手の会社が責任を認めるということは難しいようです。したがって、相手がstatementをあげるのを待つことになりました。

*** レンタカーを借りる ***
車社会アメリカでは、レンタカーを借りなければ移動できません。レンタカー代は保険会社が負担してくれます。しかし、私の場合は、先にも言いましたが、なかなか相手のadjusterと繋がらず、adjusterが責任を認めるまでには至っていない段階でしたので、レンタカーを借りるべきかどうかとても迷いました。そこで、自分の保険会社の担当者と相談したところ、この事故は100%相手が悪いわけだし、見切り発車でレンタカーを借りてもいいだろうということで、Hertzで借りてきました。

このときすでにclaim numberがある場合は、それをレンタカー会社に伝えることで、保険会社に直接請求してもらうこともできるそうです。私はclaim numberを伝えていたのに、なぜか保険会社に直接請求されず、あとでレシートを相手の保険会社にFAXしてお金を返金してもらいました。保険会社といろいろやって疲れてるうえにHertzと揉める気にはならず、とりあえず建て替えで我慢しました。

レンタカーの貸出期間は保険会社によっても違いますが、私の場合は、相手の保険会社であるUSAAの規定では、廃車(total loss)の査定が終わり、保障される金額が提示された日を含めて3日間でした。ガソリン代は自腹になります。クリスマスと正月をはさんだので、約2週間借りていました。

DAY3 12/24

*** 修理の見積もりを受ける ***
次に、事故車の修理の見積もりを受けます。adjusterから、どこに車を預けているのか聞かれるので、それを伝えると、見積もりの担当者が直接出向いていって証拠写真を撮り、修理工場に修理の見積もりを依頼します。私の場合は、自分の保険会社の見積もり担当者が先に見積もりをしました。


*** 相手の会社にLiabitlityが認められる ***
自分の保険会社が見積もりをしている途中に、相手の保険会社(USAA)のadjusterに連絡がとれました。この時点で、事故の相手もきちんと状況をadjusterに伝えていたようです。事故の状況をこちらからも伝えました。既に事故の相手が素直に過失を認めていたため、adjusterもこちらの事故説明をすんなり受け入れて事故の責任をすぐに認めてくれました。事故の責任を認めることを、accept liabilityといいます。もしかしたら、ここで揉める場合も多いと思うので、私はこの点はラッキーでした。

*** 自分の保険会社のClaimを取り下げ ***
相手の保険会社が責任(liability)を認めたので、自分の保険会社のClaimは一旦取り下げ(close)することにしました。なにかあれば、またClaimを再開することができます。

*** 自動車をTotal Loss Departmentへ ***
相手の保険会社(USAA)のadjusterとの電話でのやり取りで、事故の様子を話した時点で、adjusterは「全損」と見積もったようです。そして、車はUSAAのTotal Loss Department(全損査定部門)にまわされることになりました。このとき、Total Loss Departmentの指定する工場で査定をしなければならないということで、この時点で自動車を預けていた修理工場に三者通話で電話をかけ、自動車を移動させる権利をUSAAに譲渡するという旨の連絡をさせられました。その後、自動車は修理工場から、USAAの修理工場に移動させられました。修理工場がこのあとクリスマスの休暇に入ったので、3,4日あいだが空きました。

DAY 5 - DAY 8
12/25-12/28クリスマス休暇

・・・暫くTotal Loss Departmentからの連絡を待ちます。そのまま年明けを迎えました。なぜなら、Total Loss Departmentの担当者が長い休暇を取っていたからです・・・。この後の正確な日付は覚えていません

そういえば、クリスマス休暇を見越して、一枚FAXを送りました。それは自分の車の価値を証明する書類です。私の車は5900ドルで中古車屋から買ったのですが、市場価値はそれほど高くなく、ヘタをすると2000ドルくらいしかもらえません。そこで、購入価格分は出してほしいという旨の手紙と、車を購入したときのレシートをadjusterにfaxしました。しかし、もちろんfaxが届いたことなどの確認の電話などかかってくるわけありません。何度もこちらから電話して、ようやく受け取ったことを確認しました。しかし、それがTotal Loss Departmentの担当者には渡っていなかったようで、再度Total Loss Departmentの担当者に送りなおしました。はぁ、めんどくさ。

年明け以降
正月があけて、何度も何度もTotal Loss Departmentの担当者に電話をして、ようやく連絡がとれたのは、1月5日。とにかくしつこく電話でつっつきまくって提示額だけでも聞きださないと、次の中古車を買う算段も経ちませんし、自分の車がないと仕事にも差し支えますから、一日何回も、自分の保険会社の担当者と手分けしてかけました。そして、ようやく、全損で保障される金額が提示されました。日本だと向うから電話してくるようなことでも、こっちから連絡しないと伝えてくれないのです。

この時点で、レンタカーを返す日が決定したのと、次の中古車の手持ち資金がいくらになったのかわかりました。結局4500ドルと、購入金額よりは少なかったのですが、市場価格よりは高い目にだしてくれたので、これを飲むほかはありません。もっと高い金額が欲しかったら、あとは法廷に出て行くことになりますが、たかだか1000ドルくらいで法廷に出て、貴重な時間をつぶし、ストレスにまみれて暮らすのはあまり賢いとはいえませんので、これで飲むことにしました。

自動車の所有者を示すcertificate of titleにサインして1月8日にUSAAに送りました。そこから3日間、中古車を買いにあちこち走り回り、ようやく中古車を購入です。いい中古車を見つけるのは大変でしたが、その話はここではあんまり関係ないので割愛です。

さて、もちろんアメリカのことです。すんなり4500ドルのPay Checkが送られてくるはずはありません。

certificate of titleを送って3日経ったころに、電話をしました。certificate of title、受け取ったか?と聞くために。Total Loss Departmentの担当者はもちろん留守録です。何回も何回も留守録に入れても不在。もちろんむこうからコールバックなんてしてきません。「あなた、まだそこで働いてるんですか?」と思わず皮肉を録音してしまいました。

仕方がないので、adjusterに電話するも不在。adjusterの同僚に確認をとってくれと言うも、よくわからない様子。仕方がないので、total loss departmentの担当者の同僚に確認をとりました。とりあえずcertificate of titleは受け取った模様で、その審査をしているとのことです。certificate of titleの審査なんか、なんで必要なの?

一方、レンタカーの領収書もfaxしましたが、こちらもなしのつぶて。adjusterに何度も電話して、ようやくadjusterからコールバック。レンタカーの建て代えた分の570ドルは、ようやく本日1月23日に受け取りました。

そして、今日、total loss departmentの担当者の同僚にようやく連絡がついたので、4500ドルのpay checkをまだ受け取っていないと伝えたところ、ようやく送る処理をしているようです。


*******
すべてが終わっておもうことは、自分の保険会社の担当者には、信頼できる人を選ぶことです。私の場合は自分が6割程度の交渉を受け持ちましたが、残りの4割程度は自分の保険会社の担当者がやってくれました。三者通話で支援してくれたこともあります。連日一人で相手の保険会社に電話をかけ続けるのに疲れたら、この担当者に「そちらからもつっついてください」お願いしていました。しかも日本人の方だったので、その分ストレスが軽減しました。日本語でコミュニケーションできるということよりも、こういう習慣は日本人なら知らないだろうということを理解して支援してくださるからです。私の場合は、レンタカーを借りるときに、相手がliabilityを認めていなくても、もう借りてしまって請求を勝手に向うにまわすぐらい強気でいけばいいというアドバイスを受けたり、こういう場合にはどんどんプッシュしてしつこいくらい電話をかけたほうがいい、というようなアドバイスをいただきました。また、これは日本人だからだというわけではなく、その担当者が親切だっただけですが、相手に送るFAXの文面も一緒に考えてくださいました。いろいろと専門的な知識を持った人の支援があったので、交渉なども自信を持ってできたのだと思います。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-24 17:56 | アメリカ文化
アメリカは研究倫理もいろいろと厳しくて、人間を相手にした研究を行う場合は、それぞれの大学に設置されているIRB (Institute Review Board)という機関の審査を受けなくてはいけません。

それに先だって、研究者はみなオンラインのトレーニングを受けなければいけません。これは大学院生も同じです。

ということで、CITIというサイトでトレーニングを受講したのですが、なかなか時間がかかって大変でした。5時間以上はやっていたように思います。途中で簡単なクイズが何度も出されるので、しっかりとテキストを読まなければなりません。

「研究」の定義や、「被験者」の定義に始まって、連邦政府の倫理規定が定められた経緯、研究のもたらすリスクや利益について見積もる際の観点、被験者の同意に必要な情報提供の内容など、盛りだくさんです。とくに規定に関することは本当にややこしくて、Belmont Report, Common Rule, FERPAなどなど、いくつもの法律や規定とそれらの関連を一生けん命覚えました(でも、すぐ忘れそうです)

いろいろと事例も出されていたのですが、中には「よくまぁこんなひどい研究をやったな」というものもあります。この手の反倫理的な研究でよく引き合いに出されるのは、我がすたんふぉーど大学のスタンフォード監獄実験ですが、それ以外にも、レストランの反応を見るために、食中毒になったとウソの手紙を送ったことで、レストランの従業員がクビになったり、ゲイの振りをしてゲイのコミュニティーに紛れ込んだ後で、彼らの奥さんや子どもがいる前でそのことについてインタビューをしたり、裁判所で陪審員に内緒で盗聴をしたり、ほんと、データ集めのためならウソは平気でつくし、愉快犯まがいの犯罪的な行為はするしで、データに目がくらむとなんでもやってしまうんだなぁ、と思いました。

ところで、僕のやりたいのは簡単なインタビューなんですが、それでもこういうトレーニングを受けて、しかもIRBの審査にかけるために、いろいろと文書を用意しなければなりません。研究倫理に厳しいのはとてもいいことなんですが、医療の臨床研究ならいざ知らず、たった30分くらいのインタビューでもここまで手間がかかるのは、ちょっと気が重いです。

ただ、いずれ日本の研究倫理の審査もこれくらい複雑になることが予想できるので、いまこのようなことをカジっておくのもいいかなぁと思いました。そういえば、以前にお世話になっていた研究チームの仲間で、看護系の大学にお勤めの先生に見せていただいた倫理規定はかなり厳しかったのを思い出します。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-24 15:30 | ラーニングとテクノロジー

シカゴ授業研究グループ

About Chicago Lesson Study Group

アメリカの授業研究の拠点の1つ、Akihiko Takahashiのリードするシカゴ授業研究グループ。

2002年10月活動開始。2002年はサンマテオ・フォスターシティ授業研究会のあった年。

この授業研究グループの特徴は、学校間にまたがった授業研究の形態をとっていることです。これは、アメリカでは多くの場合、授業研究が草の根運動であり、トップダウンの形態をとらないので、算数教育に熱意のある教員を有る程度の人数集めるためにはこのような形態が良いという理由によるものと、それから、アメリカの教員が、同じ学校の同僚と協力して授業改善をするということに抵抗を持っているという理由によるものです。

また、このグループのユニークなところは、大学で学ぶ学生のための教員養成のための役割も果たしていることです。

******

ところで、2月4日にミルズ大学附属小学校の研究授業、2月5日には以前に授業計画を見せていただいた公立小学校の研究授業に行ってきます。楽しみです。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-24 14:59 | 授業研究
今月29日にLesson Study Public Open House という催しが San Joseで開催されます。

Noyce Foundationという財団があって、ベイエリアの50の学区に対して授業研究の補助金を出しているのですが、その報告会というかたちでこの催しが実施されます。

授業研究には予算が必要なのはいうまでもありません。Noyce Foundationはそのための費用をバックアップします。

ところで、授業研究の予算といったときに、日本とアメリカではすこし事情が違います。

日本の場合は教員が授業研究をするときに、わざわざそのための手当てを出すことはありません。なぜなら、教職調整額があり、残業代はすでに見なしで支給されているからです。しかし、アメリカの場合はそういうことはないので、授業研究をするとなれば、別途そのために手当てが支給されるべきという考え方になるのです。したがって、授業研究の予算には、教員のための手当てが含まれます。

政府や地方自治体による補助金ではなく、このような財団の補助による活動であるあたりがアメリカらしいと思います。
[PR]
by toshishyun | 2009-01-21 15:08 | ラーニングとテクノロジー
夕方にサンフランシスコに行きました。

サンフランシスコは、夕暮れ時が世界で最も美しい街じゃないかと思います。ツインピークスという高台があるので、そこに行って街を眺めることにしました。

e0149551_1455233.jpg


このように街全体を見渡すことができます。ゴールデンゲートブリッジも一望できます。

e0149551_14582715.jpg


ツインピークスから街中への帰り路では、スコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」をかけてドライブしました。

愛と平和を求めたヒッピームーブメントが盛んだった、60年代の優しくお洒落なサンフランシスコの様子を歌ったこの歌のサイケデリックな雰囲気に包まれてのドライブはなかなか味があるものでした。

車中から街角に目をやると、ゲイのカップル達とレインボーの旗(レインボーはゲイのシンボル)。人が自由にお洒落に優しく生きることのできる街を見て、気持ちが温かくなったような気がしました。

Scott Mckenzie - San Francisco



If you're going to San Francisco
Be sure to wear some flowers in your hair
If you're going to San Francisco
You're gonna meet some gentle people there

(サンフランシスコに行くんだったら 髪に花を挿して行こう
サンフランシスコに行ったら きっと優しい人々に出逢うでしょう)
[PR]
by toshishyun | 2009-01-19 15:16 | アメリカ文化