中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

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車大破

僕の人生にはなんせハプニングが多いことが売り物です。

昨日の夜のことです。いつもよくいくWhole Foods(スーパー)で機嫌よく買い物をすませて、駐車場に戻ったら、なにやら人だかりが。

・・うわ、あれ!僕の車や!

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左側の白いのが僕の大好きなキャデラック・・・だった鉄の塊です。右側が僕の車に正面からあたったレクサス。運転手のおばさんは、どうやら駐車時にブレーキとアクセルを間違えて踏み、車止めを飛び越えてド派手にあたってきた模様。僕の車、衝撃で駐車スペースから後方にはみ出てます。

非は100%相手にあるとはいえ、ここはアメリカ・・・保険屋さんとのやりとりとか、いろいろ面倒だなぁ・・。

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「まぁ、起こってしまったことは仕方ないし、とりあえず相手も気を落としてるだろうし、やることをぬかりなくやって今日は帰ろう」・・・などと、保険会社への連絡や警察とのお話など、淡々と後処理をこなしていたら、どうやらそれが相手の方に好印象だったようで、しきりに"I'm sorry. I know you are upset, but you are so nice. You are so patient. Thank you for your patience."(ごめんなさい。とてもお怒りだと思いますが、あなたはとてもナイスですね。ほんとに忍耐強いですね。我慢してくださってありがとうございます)などとおほめの言葉をいただきました。

まぁそう言われると悪い気はしませんが、"That's alright"(いいんですよ)というのは、いちおう言いませんでした・・・ここはアメリカなので、ヘタに許しの言葉を言ってしまうと後が怖い。このあたりはきっちり僕はアメリカナイズされています。とりあえず、日本人の得意技「ほほえみ」で返し、去り際にGood nightとあいさつしておきました。

相手側もこちら側も通行人も、けが人がいなかっただけでもよしとしましょう。

そうです。きっとこれは僕がいつもいつも丁寧に可愛がっているので、愛車が僕の身代わりになってくれたのです。そうでなければ、きっと僕は道端であのおばさんのレクサスに轢かれて、今頃は遺体を日本に運搬する手はずになっていたはずです。僕は運がよかったのです。・・・そう思っておくことにしましょう(笑)。

今日は、レンタカーの手配と受けとり、保険屋さんへの電話、修理工場へのお話などで一日が過ぎていきました。
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by toshishyun | 2008-12-24 14:12 | その他
もうすぐクリスマスです。

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クリスマスといえばプレゼントです。アメリカでは、たくさんの人が集まったパーティで、Pick or Stealというプレゼント交換の習慣があります。ルールは簡単です。盛り上がります。

用意するもの・・・クリスマスツリー、番号の書いたチケット

1. 参加者はプレゼントを持ってきます。ひとり15ドルとか、値段を限るほうがよいでしょう。パーティーの受付で、プレゼントをわたし、番号の書いたチケットを貰います。

2. 大きなクリスマスツリーを用意して、その根元にみんなが持ち寄ったプレゼントを並べます。

3. 暫くして座が温まったところで、サンタさんが前に登場!帽子の中から番号を引きます。

4. 引かれた番号のチケットを持った人は、ツリーのところにいって、プレゼントを選びます。

5. 選んだプレゼントをみんなの前で開けて披露します。ときどきおもしろグッズなどが混じっていたりして、盛り上がります。

これだけだとただのプレゼント交換なんですが、面白いのはここからです。

4のときに、ツリーのところのプレゼントを選んでもいいのですが、自分より前の誰かが貰ったプレゼントを横取りすることもできるんです。横取りされた人は、素直にプレゼントを渡して、代わりにツリーのところで、新たなプレゼントを選びます。

Pick or Steal, 選ぶか盗むか・・・というゲームです。

この習慣、古くからある習慣というわけではないのですが、アメリカに独特のものだそうで、クリスマス風の音楽でもかけながらやると、わいわいと楽しむことができます。
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by toshishyun | 2008-12-18 16:54 | アメリカ文化
ミルズ大学のキャサリンルイスさんに会ってきました。

http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21/2007/07/s01toku_16.html

お会いしたついでに、昨日疑問に思ったシンガポールの教育についても聞いてみましたが、実はルイスさん、授業研究についてお話してくれとシンガポールの先生達に依頼されているようです。日本という近場があるというのに、なぜまたわざわざ、とおっしゃっておられましたが。まぁ、日本式の授業というものに、シンガポールでも関心がもたれているわけです。

ルイスさんと話していて再認識したんですが、シンガポールって人口が400万人程度の国で、国というよりも、どちらかというと「都市」なわけです。そのような国で集中的にお金をかけてやっている習熟度別のエリート選抜教育を、日本という人口1億数千万人の国家が見習うにはあまりにも事情が違いすぎますね。これは福祉なんかでもそうで、よく北欧の福祉と日本の福祉を比較するような記事がありますけど、国家の規模というものをついつい見逃しがちになってしまいます。

さて、シンガポールはたしかにTIMSSの点は高いのですが、シンガポールでは、優れた先生といわれる先生でも、単なる詰め込み式の教育をしているようで、生徒が授業で積極的に自分の考えを述べるという点については問題が残るということです。これからの時代、他者と協力しながら価値を創造していけるような人材が必要とされているわけですから、いくらTIMMSの点が高いからといって、シンガポールの詰め込み方式を日本に導入するのは時代を逆行しているといえるでしょう。テストの点とり虫を量産しても仕方がないわけです。

日本式の授業は、国際比較調査ではほどよく点もとれるし、子どもたちが内容に沿った考えをお互いに練り上げることで生徒の社会的成長も促進するし、なかなか絶妙なバランスがあるようです。

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シンガポールの教育については余談で話したことで、今日は授業研究と算数教育についていろいろとお話ししてきたのですが、それはまたどこかで論文にでもまとめたいものです。
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by toshishyun | 2008-12-11 15:40 | ラーニングとテクノロジー

2007 TIMSS

2007年TIMSSに関する記事への感想

**** 産経新聞*******
[上位占める東アジア 秘密は「国策で初等教育に力」 国際調査]

全教科で3位以上の成績を収めたシンガポールは、徹底したエリート選抜システムが特徴だ。小学校高学年から試験による振り分けが始まり、同じ学校でも成績によって違うコースを用意するなど、徹底した能力別教育で競争心をあおる。全教科で3位以上の台湾は中学3年で全国一斉の基礎学力テストを行い、全体的な底上げを図っている。

(中略)

 「学ぶプロセス」重視の欧米に対し、東アジアは「学ぶ」こと自体に力を入れている。猿田総括研究官は「ある意味、東アジアは詰め込み教育に近く、小中学校の段階では効果があるため欧米も注目している。しかし、創造性や好奇心が損なわれるとの批判が出始めている国もある」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081210-00000502-san-soci
********************

うーむ。習熟度別指導は上位の生徒のうちでもほんの一部にだけに恩恵があって、それ以外の大多数には弊害のほうが指摘されているんだが。しかし、シンガポールでは成功していると、この記事は言っているな・・・。

それから、ヨーロッパは知らないけど、アメリカでは、日本の授業が「厳選された内容」のカリキュラムで「学ぶプロセス」を重視して指導しているから国際比較調査で好成績なのに対して、アメリカの授業は「やり方を教えるだけ」でしかも「詰め込み教育」になっているから成績が悪いことが指摘されているのだが・・・。実際、カリフォルニアのカリキュラムと日本の指導要領を比較してみると、アメリカのほうがなんでもかんでも詰め込んでいるのがよくわかるしなぁ。

いったい何がなんやら。混乱するなぁ。

単に産経新聞が、「アジアは競争重視の詰め込み、欧米は考え方をしっかり教える」というステレオタイプを踏襲しているだけなのか。

それとも、習熟度別指導を批判する論は岩波から出ているが、これはリベラルなアプローチによって組み立てられた論理なのか。

数学・算数に限って言えば、アメリカ人が日本の授業を「プロセス重視の優れた教育」と言っているのに、日本では欧米を「プロセス重視」というのは、国際比較をするときには、隣の芝生が青く見えるからなのか・・・。この猿田祐嗣さんという国立教育政策研究所の人は理科教育の人のようだけど、理科ではそうなのかな。

***** 時事通信 ****
[授業拡充前に成績改善=今後さらに得点増?-前回調査で理数重視へ]

国際数学・理科教育動向調査では2003年の前回調査で日本の成績が落ちたことから、小中学校の新学習指導要領で理数教育が重視されるきっかけとなった。文部科学省は両教科の時間、内容を新指導要領に沿って来年度から拡充するが、07年調査では、その導入前から学力が改善し始めた実態が浮かび上がった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081210-00000006-jij-soci
****************

PISAでもTIMSSでもそうだけど、たった一回の国際調査で教育内容をあちこちいじりまわさなくてもいいのではないかと思います。なんか、教育現場を離れた政治的パフォーマンスで教育をぐちゃぐちゃとこねくりまわしてもねぇ、せっかくのいい取り組みがあったとしても、成果が出る前にどんどん捨てていっちゃうことになりそうです。そう、アメリカのように。

それにしても気になるのは、意欲・・・ですね。日本の子どもの意欲が低いのはいったいなぜか。ホントに意欲が低いのか、質問の主旨が日本の子どもの意欲をうまく測れないのか。
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by toshishyun | 2008-12-10 14:45 | ラーニングとテクノロジー

責任の所在

日本の文化で特徴的なのはなんといっても、「部下の責任をボスがかぶる」「生徒の責任を学校がかぶる」「先生の責任を校長がかぶる」ということでしょう。

いま、大学生の麻薬問題が世間を騒がしています。例えばA大学の学生が大麻をやっていたとする。そうすると、大学が記者会見なんかに出てきて「申し訳ありませんでした」と頭を下げる。アメリカの考え方では、大麻なんてのは個人の責任の範疇にはいること。なにも大学が出てきて謝ることはない。(だからと言って、大学が謝らないでもいいと言っているわけではありません。念のため)。

会社では、部下の監督責任が部下の私生活における振る舞いにまでおよぶこともある。部下にへんてこなことをされたら、上司の責任が問われるんですね。

このような文化をどう考えるか。

まぁ、上司や会社や学校が関係ない人の分まで謝るのはおかしいという考え方もあるでしょう。自分たちの責任ではないことまで組織として謝っちゃうと、できもしない責任まで抱え込んでしまうという側面もあるでしょう。

そういう問題点ばかりでなく、このような日本文化の長所に目を向けると、大麻とかそういう反社会的行為は問題外だとして、社会問題にならない範囲ならば、若手社員や生徒や学生といったまだまだ社会的に失敗をしやすい世代の若者に、「失敗はこっちで引き受けるから、失敗を恐れずに若いうちは頑張りたまえ」と組織が個人の責任をカバーしてあげる懐のひろい文化だという見方もできるでしょう。そうやって豊かな人材が育っていくのでしょう・・・組織内で責任がうやむやになっちゃう温床だともいえますが(笑)。

まぁこのように議論はつきませんが、この「個人の責任、組織の責任、上司や長の責任」というところから文化を切るととっても面白いと思います。そして、この議論をアメリカでやるとなかなか盛り上がって楽しいんですよ。

ただ、どんな文化にも根拠があり、そのような文化的な仕組みが皆を幸せにする思想や工夫があるわけですから、その文化の長所をきちんと説明することで、「日本人はおかしい」というように誤解されないようにしないといけないと思います。
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by toshishyun | 2008-12-06 07:53 | アメリカ文化

大学とボクの授業改善

アメリカの授業研究について調査をすすめています。

いろいろ読みすすめていると、大学での授業改善についてふと考えてしまいました。

僕は授業がとってもヘタです。できればうまくなりたいと思います。あたりまえです。これはやっぱり授業に出てくれる学生に「楽しくよくわかって、満足した」という経験をしてほしいからにほかなりません。

しかし、大学には上手な授業の仕方を学ぶ機会がありません。さすがに小学校や中学校から大学に移られた先生は、おおむね上手な方が多いようです。そういった方々から学びたいと常々思いますが・・・。

ネックは、次のようなことだろうと思います。だいたいの授業研究では、研究授業に向けて「複数」の教員で授業を計画します。小学校なら、学年でチームを組んで、算数の「角度」の単元なら、その単元のうまい教え方をみんなで考えるわけです。

ところが、うちのような小さな大学では、そもそも同じ科目を担当する人が少ない。僕は情報処理の授業なんかを持っていますが、うちの大学、情報の先生は2人だけ・・・。もちろんこの2名であれこれと授業を計画したらいいんです。でも、そうだとして、次の問題は、「誰に見てもらうの?」ってとこです。内容を的確に押さえているか、学生の理解やつまづきはどうか、発問の的確さや導入の適切さはどうか、などについて、授業を見てもらった後で話し合いが行われるわけですが、よくわからない教科内容について、他の先生から的確なご意見がいただけるのかどうか・・・。大学は、教員の専門分野がばらばら、科目も小中学校に比べるとあまりにもバラエティーに富みすぎてます・・。

いろいろと言っていても仕方がないので、授業の上手い先生が刷った印刷物なんかを僕はこっそりみたりはしています。そんなのを見てはその先生の授業の作り方を想像し、少しでも上手に授業が計画できたらなぁとは思うものの、やはりそこはベテランの先生と「一緒に」授業の計画をしてみて、それを実際に実践して、色々と学びたいものです。

まだまだ悩みはつきません。というのは、情報関係の授業は内容の変化が激しく、教材を作るだけで精いっぱい。小学校・中学校ならば、学習指導要領があるので、少なくとも「何を教えるか」については明確で、先生は「どうやって教えるか」に集中できますが、大学は何を教えるのかから考えなければなりません。教える内容の変化が激しいため、指導法の積み重ねもあるのかどうか・・・。なんだか、教材づくりばかりで溺れていて、肝心の授業のやり方の向上まで行きつけていない気が・・・。他の大学の先生はどうされてるんだろ・・・。ときどき他の大学の研究室に遊びに行った時にあれこれ見せてもらってはいますが。「あ、それ、僕もやってもいいですか」などと言って、とりあえず真似をしては失敗したり成功したりするわけです。情報教育の授業研究とかないかな・・・あるかもな・・・。

いえいえ、これは愚痴ではありません。とりあえず問題点をここに書いとかないと忘れちゃうからなんです。いつの日か、「おお、そんな初歩的なことでつまづいてたのか」と鼻で笑う日が来るといいな、と願いつつ。

まぁ、僕みたいな授業でも、「先生の話はほんとうに楽しくてよくわかる。例えが面白くてわかりやすい。」と言ってくれる学生がいるから、頑張れます。
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by toshishyun | 2008-12-03 13:28 | ラーニングとテクノロジー