中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

カテゴリ:アメリカ文化( 36 )

最近のアメリカ的出来事

・ 帰国にあたってトラベラーズチェック(TC)を作ろうと銀行に寄るも、その銀行にはなんと500ドル分しかTCがなかった。仕方がないので、隣のもっとおおきな支店に行ったところ、その支店にある8000ドルのTCをなんとかかき集めてくれた。TCなんて使わないらしい。

・ でも、アメリカには便利なデビットカードがある。僕は先週までの数カ月、ほとんど現金というものを持っていなかったし使わなかった。そして、クレジットじゃなくてデビッドのほうが、すぐに口座に反映されるので管理がしやすい。SuicaやEdyみたいにチャージしなくてもいいし。日本でも使えたらいいのになぁ。割り勘のときに困るけど。

・ 賃貸契約の終了にあたって、保証金を清算。あらかじめ渡していた保証金から、電気代ガス代だけを差し引いて、ほぼすべてが返ってくる。保証金は家賃の一カ月分だったし、日本の悪しき敷引きが恨めしい。

・ オーガニックのハンバーガーを食べる。Joe's Cable Carというお店。アメリカ中あちこちでハンバーガーを食べたけど、ここのはたぶん一番おいしかった。なぜいままで行かなかったのだろう。ちょっとサンフランシスコから離れたところにあるけれど、サンフランシスコ旅行に行く人でレンタカーをする人は絶対にはずしてはいけないレストラン。

・ 引っ越しにあたって、家具などは、すべてムービングセールで売却。中古の掃除機など、いろいろなものがネットやメーリングリストを通じて簡単に売れるのはアメリカならではと思う。日本でも、在日の外国人が帰国するときにネットなどでSayonara Saleというのをやっているようだけど、こちらほど活発ではなさそう。日本でももっとムービングセールが活発になれば、いろんなものが安く買えたりしていいのになぁ。

・ サンフランシスコの観光地の路上で似顔絵を描いてもらう。中国人らしきおじさん。少し話をしてみると、どうやら香港が中国に返還される直前に、アメリカに渡ってきたということ。それまではテレビ局でストーリーボードを描いたりしていたということだが、共産党による支配を嫌って渡米。かつて、共産党支配を嫌ってカナダに移住した香港人の話を何かで読んだことがあったけど、実際にそういう人と会って話をしたのは初めて。

・ 引っ越しにあたって、U-haulという引越専門のレンタカー業者から軽トラックを借りる。ネットで見ると、営業所のおじさんはかなり評判のよくない人。しかし、あれこれと選んでいる暇はなかったので、とりあえずその営業所に行ってみる。当のイラン人のおじさんと話をしていると、意外に愛想がいい。愛想が良くなったのは、こちらが日本人だということを知ったからか、単に僕と馬があったのか。おじさん、イラン空軍の軍人だったということで、ちょっぴりイラン軍のうんちくを僕が語ったから機嫌がよくなったのか。いずれにせよ、日本人は中東系の人からは比較的好かれている。僕も中東のおっちゃんに好かれることが多い。

・今回の米国滞在では、以前よりももっと人種や国籍の壁を超えて、いろんな人と交友を温めることができたことを実感する。そういう意味で非常に有意義な滞在になった。
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by toshishyun | 2009-08-30 15:00 | アメリカ文化

日本人の評判は・・・

今日、研究所のデスクでアレコレやっていると、ご近所さんが、「世界でいちばん評判がいい旅行者は、日本人だ!」という記事を大きな声で紹介した。まわりにいた研究員たちで、ひととおり盛り上がった。アメリカ人に加えて、エクアドル人、フィンランド人、シンガポール人、メキシコ移民、インドネシア移民など、なかなかバラエティーあふれる面々だ。

なんでも、日本人は「フレンドリー」で、「綺麗好き」で、「お行儀がよくて」だそうで、聴いてるとむずがゆくなってくる。

「僕、みんなにフレンドリーかなぁ?」と言ってみると、みんな"Oh yeah!!"と、親指をたてて言ってくれてほっとした。

そのあと、インドネシア移民の人が言ったひとこと、うーーーーーん、と思わずうなってしまった。

「わたし、インドネシアのホテルで働いてたことあるけど、日本人はとっても礼儀正しくて、騒がないし、綺麗好きだった。けど、サービスが良くなくても、アメリカ人みたいに騒いだりしないし、怒らない。・・・けど、日本人って、サービスが悪いと、その場はニコニコしてても、後がこわいのよねぇ。ホテルに日本人がこなくなるから。」

よくわかっていらっしゃる。

まぁなんでも、フィンランド人も面と向かっては文句を言わないそうで、いろいろ聞いてると、フィンランド人と日本人はなかなか、ソリが合いそうな国民性である。
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by toshishyun | 2009-07-10 11:12 | アメリカ文化

アメリカの巨大さ

今回、米国滞在通算5年目にして、アメリカの巨大さというものが実感としてわかってきました。

日本も多様な地方文化がある国だけれど、アメリカの巨大さは理解の範囲を超えています。たとえば、教育について「アメリカでは・・・?」などと聞かれても、答えようがない。

例えば、うちの近辺の学区でも、学校によって教えていることはバラバラ、いや、もっといえば、先生によって教えていることがバラバラ。カリキュラムに拘束力がないからです。

小学校では、1年~3年までしか教えない先生、1年~3年と5年しか教えない先生など、学年配当も変わっています。

それから、同じ学区内の学校でも、ある学校は幼稚園から2年生までしかなくて、別の学校は3年生から5年生までしかない。もちろん、普通に幼稚園~5年生まである学校もあります。(中学は4年制です)。

また、私立校と公立校では、入学時の年齢の算出方法が違ったりします。日本だと4月~3月が一学年ですが、ここでは、9月~8月の場合と、10月~9月の場合がある。だから、同じ子が、通う学校にいくと学年が変わる。

日本でいう指導主事のような、各教科のコーチは、学校が雇う場合もあれば、学区が雇う場合もあれば、州が雇う場合もある。校長は、教員経験がない民間人が採用されて3年ほどで辞めていったりする。10年で11人の校長が辞めた学校もあるが、それは異常なことではない。

このような多様性を挙げればきりがありません。そして、こういう多様性に富んだ学区が、ベイエリアの東側だけで数十。その中には、半公立のチャータースクールなどもあります。そして、これらの学区には、実にさまざまなNPOや財団や企業が出入りし、サマースクールやアフタースクールを提供し、学校ごとに特色をかもしだしています。

日本の広さほどのカリフォルニアには数百、そういう学区があります。だから、アメリカと言わず、カリフォルニアの教育の特色は?などという質問ですら、なかなか答えるのが難しい。サンフランシスコのある北カリフォルニアとLAのある南カリフォルニアではカルチャーも全然違います。

こういうのが50州あるわけです。

アメリカは州が違えば国が違うと言われるほど、州の権限が大きく、ある州では違法でも別の州では合法になりますが、教育でも、州によって制度や内容が違います。たとえ科学的であっても、キリスト教の教義に背くことを教えてはいけない州もあります。

人に話を聞けば聞くほど、知れば知るほど、その像を掴もうとすればするほど、するりするりと逃げられて、あとからあとから、考えたこともなかったような事実が出てきます。

ここから飛行機で7時間ほど飛ばないと、反対の端っこである東海岸には行けませんが、そのあいだに横たわる広大な国土の上で、莫大な数の教師や生徒が、先述のような状態でちりばめられているんです。気が遠くなりそうです。
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by toshishyun | 2009-07-09 16:02 | アメリカ文化

労働時間と生活

国と国を比べるなんてことは、そもそもできないことなのだと思います。地域によって、街によって、人によって、みんなそれぞればらばらで、「アメリカは」「日本は」なんていう括りでは比べられません。

けれど、やっぱり目につくことはあるわけで、それがアメリカ全体を表しているものかどうかはわからないけど、なんとなくそこに違いを感じることもあるわけです。

僕が不思議なのは、アメリカ人の労働時間。

全員とは言わないけれど、けっこう多くの人が4:30-5:00になったらさっさと帰っちゃいます。家にもちかえりで仕事してる人も結構いるようですが、とにかく帰っちゃう。僕はたいてい7:00ごろまでは仕事場にいるのですが、大抵誰もいなくなってるか、1人か2人残っている程度です。7:30になるともう誰もいません。

大学だからかなぁとも思いましたが、どうやらそうでもなさそうで、うちのお向かいさん、GoogleでM&Aをやっているマネージャーさんですが、たまに僕が6:00ごろに「今日は早かったなぁ」なんて思いながら家に帰ると、奥さん子どもを連れて散歩から帰ってきたりします。どうやら4:30ごろに帰ってきて、洗濯をしていることもよくあるそうです。そして寝るのが早い。10:30ごろには真っ暗になってます。

階下の住人もGoogleのプログラマーですが、僕が帰宅するころには、かならず家に帰ってます。出勤は9:30ごろのようです。自転車でフラッと出かけていきます。

もちろん、アメリカ人でも激務の人もいます。知り合いの旦那さんは、金融関係なのですが、東部標準時で働いているため、朝は5:00ごろから仕事を始めて、夜までずっと働いているそうです。

職務によっては、休日も出てくることももちろんあるでしょうし、みんなが早く帰っているわけではありません。休日にスターバックスで仕事を片付けている人もよく見かけるし、自分なりに時間を見つけて仕事をしてる人、たくさんいます。
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by toshishyun | 2009-07-09 01:53 | アメリカ文化

ワシントン州 尊厳死

アメリカではオレゴン州とワシントン州で、医師の幇助による尊厳死が認められています。

ワシントン州はイチローのシアトルマリナーズで有名ですが、3月に尊厳死を認める法律が成立しました。

今朝出勤しながらラジオを聞いていると、そのワシントン州で、末期がんの女性が、医師の処方による薬品によって尊厳死したことがニュースで報じられていました。初の事例ということです。

尊厳死については賛否両論ありますし、あまり深く考えたことはないので、ここで私見を述べることは控えたいと思います。ただ、アメリカで末期がんや不治の病に罹った人とその家族にとって、ワシントン州やオレゴン州が存在するという事実は、人によっては救いになることだと思いました。

日本だと、国内すべてを同一基準にしなければいけませんが、アメリカはよくも悪くも、各州で法律が大幅に異なっています。自分の生き方や家族の生き方に大きく影響するような課題に対して、選択肢が与えられているというのは、いいことだと感じます。

すべての問題に対して、完璧に対応できる政治体制というものはありません。アメリカのような連邦制がよいのか、日本のような中央集権がいいのか、それは何をとって何を捨てるのかという問題のように思います。今日のこのニュースを見て、多様な人の多様な生き方に応えるような体制になっているのがアメリカという国なんだなぁと改めて思いました。ただし、いちいちバラバラなので、何か事があるたびに、日本よりひと手間多いのも事実です。
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by toshishyun | 2009-05-23 14:41 | アメリカ文化

メモリアルディ

月曜日はメモリアルディで、アメリカは3連休を迎えます。メモリアルディは、戦没将兵追悼記念日という日で、各地で戦没将兵の追悼イベントが行われるだけでなく、家族で集まってバーベキューをしたり、レクリエーションをしたり、墓参りに行ったりします。スタンフォード大学も月曜はお休みです。

僕の友人たちでも、東海岸や南部に実家がある人は、何人か実家に帰っちゃいました。日本で言うところのお盆みたいなもんです。

そして、なぜかシートベルト着用キャンペーンが始まります。今日の出勤時にも、ラジオのニュースでシートベルトをつけましょうという報道が何回もされていました。

この日からアメリカは夏が始まります。

なお、景気はますます悪化しています。カリフォルニアは、火曜日に、景気悪化対策の5つの法案が、住民の直接投票によって否決されてしまいました。税金も上げられない、支出も抑えられない、教育や精神障害者の援助予算として貯蓄されていた緊急出動用のファンドにも手をつけられない、で、どうしようもなくなってしまいました。識者の間では、今回の投票を批判する意見が多いです。あたりまえです。

リーマンショック以降、しばらくは、「景気はまぁ1年もすれば持ちなおすだろう」などという楽観的な意見がけっこう聞かれていたのですが、もはやそんな意見は少数派。火曜日のカリフォルニアの直接投票の結果によって、さらに不況感が強まったという感じです。これから、大量の解雇が始まり、カリフォルニアの失業率は当面持ち直しそうにありません。
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by toshishyun | 2009-05-23 05:25 | アメリカ文化

これは?

これはなんでしょう?

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スクロールいっぱいさせてすみません。あやしい広告のホームページみたいになってしまいました。

答は、これです。

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いつもいってる近所のオーガニックスーパーに売っていました、ダチョウの卵です。29ドル(約3000円)なりです。食べてみたい。

写真の下側に写ってるのが普通の卵ですから、ずいぶん大きいです。持ってみると、ざらざらとしており、卵の殻というよりは、プラスチックのようでした。これどうやって料理するんだ・・・と思ってたら、それぞれの卵に、調理法を書いたウェブサイトへのラベルが貼ってありました。卵とウェブのメディアミックスという辺りがなんだか面白い。

http://www.tryostrich.com/

ページを見てみましたが、ダチョウの肉まで売ってるのか・・・。売れるのだろうか・・・。
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by toshishyun | 2009-05-05 13:57 | アメリカ文化

末は博士がホームレス

来週、スタンフォードの博士課程で勉強中の友人が35歳のお誕生日を迎えます。この人は、高校の先生を辞めて入学してきました。博士号を取ることには、40歳近くになってます。30代で博士課程に入ってくる人、結構多いです。35歳とか40歳になって大学を卒業した場合、その後、どうなるのでしょうか。

教育学の博士号を取った人たちの卒業後の進路ですが、大学教員以外に、非営利団体の研究員や、企業附属の研究所の研究員や、各学区の教育委員会の研究者になる道があります。非営利団体は、各種財団などから資金を得ており、きちんとした給与も出ます。それも、日本のように安い給与ではなく、ディレクターレベルになると年収1000万円を超える場合も普通にあります。厳しくはありますが、それなりに就職口もあります。研究職はいろいろなところで用意されており、Ph.D.という肩書きがモノを言うのです。(もちろん、しばらく就職ができない人もいますけど、そういう人は奥さんとか旦那さんが稼いでくれる場合も多いです)。

日本の場合はどうでしょうか。ストレートで博士課程に行っても、何十倍という難関を通り超えて大学教員にならなければ、就職はほとんど無理と言われています。しかも、運よく正規の教員になれるのは稀で、いまやほとんど3年や5年の任期があります。ましてや、20代後半を過ぎて仕事を辞めて博士課程に行くとなると、これはよほどの実力と人脈が無い限りは、自殺行為です。

日本で博士号を取った人の行く末はどんなものなのでしょうか?このあたり、博士が100人いる村というお話が有名です。

ちなみに僕は、スタンフォードで修士号をとったときに、あと5年頑張って博士号まで行ってしまおうと思っていましたが、日本で働く可能性があることを考えるとあまりにもリスクが高く、とりあえず就職しようと帰国しました。正解だったと思っています。

なんでこういうことになるのか、僕にはわからないことが多すぎます。

ただ、教育学に限って言えば、日米の教育制度の違いが一つの要因になっているのではないかと思います。

ご存じのように、日本には学習指導要領があるので、全国一律で教えることが決まっており、検定に通った数種類の中から教科書を選択します。教科書会社の指導書などもそこそこ使い物になります。そのため、現場の先生は何を教えるかについて考える必要があまりなく、既に決まった内容をどうやって教えればよいかを考えることに注力できます。そして、授業研究などを通じて、教え方をお互いに磨いていくことで、良い授業方法を作り出してゆくことができます。教育委員会の研修なんかでも、指導主事なんかは教員経験者ですし、基本的に学習指導要領に基づいて、現場の実態に沿った形で研修をします。

しかし、アメリカには学習指導要領なんてものはないですから、何を教えるべきかというところから、現場の先生は考えなければなりません。学校によってばらばらの内容、ばらばらの指導方法・・・。さらに、教育委員会の関係者は教員経験者ばかりではありませんから、教育行政についてはプロでも、教育については素人です。校長ですら、一度も授業を教えたことのない人がなったりしています。こういう状況では、何を教えるべきか、どのように教えるべきかを考えるのは、とても現場の先生や教育委員会の手に負えるものではありません。さらに、アメリカは多民族国家で、いろんな文化背景を持った人々がいますから、皆に対して同じ内容、同じ教え方でいくわけにもいかないという事情もありますから、事態はさらにややこしいのです。

そこで、教科書会社や教材会社や非営利団体はここぞとばかりに、自分たちの教科書や教材や教育方法や研修を売り込みます。先生の負担がなるべく少なくなるように、分厚い指導書もきっちり用意します。ここに、博士号を持った研究者の活躍する余地があります。教科書会社で教材開発に関わったり、教育委員会や学校の委託を受けて学力測定をしたり研修を実施したりします。日本のように、一種類の指導要領と数種類の教科書しかない場合と違って、教育産業のパイは大きいのです。
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by toshishyun | 2009-04-30 12:59 | アメリカ文化

豚インフルついに来た

車で20分ほどのサンホセの街の学校3校が、豚インフルエンザの「疑いがある」生徒が出てきたということで、閉鎖されてしまいました。まだ「疑いがある」という程度ですが。

いずれ来るとは思ってたけど、まさかこんなに早いとは。

うちの近所にもヒスパニックが多いから、一人は絶対感染者が出るだろうなぁ。大丈夫大丈夫なんて思ってたけど、意外とやばいのかも。

近所でアウトブレークしたときの対策をそろそろ考えるとするか。アウトブレークしたら、同僚は、子どもを連れて実家に帰るって言ってたな。

この辺の人、金持ちが多いから飛行機すぐにいっぱいになりそう。
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by toshishyun | 2009-04-30 09:05 | アメリカ文化

筆記体、必要だよ

筆記体がいつの間にかレアな存在になっていた

いまの英語教育で、筆記体を教えてないのは知ってました。僕が、日本の授業でホワイトボードに英単語を書くときも、学生が筆記体を読めないので、教科書に載ってるようなブロック体にしています。

けど、書けなくてもいいから、読めないと困るし、やっぱり教えないのはまずいんじゃないかと、そう思います。

文部科学省に問い合わせてみたところ、「筆記体は、平成10年に改訂された学習指導要領から『教えることができる』という記述に変わり、必須ではなくなりました」とのこと。授業時間が減ったことなどによる負担を考慮して、というのが理由らしいが、やっぱり現場でも「教えることができる」=「教えなくても OK」=「教えない」ってことになっているのだろうか? 公立中学校で英語を教えている先生に話を聞いてみた。

「私は教えていないです。よって現在、私の学校ではほとんどの生徒が筆記体を書けません。とはいえ生徒は何故か筆記体に憧れて書きたがるので、名前くらいは教えたりもしていますね。積極的に『覚えたい!』と言ってきた生徒には、昔の教材をコピーしてあげたりもしますが、時々黒板にばーっと筆記体を書くとわーっと声があがるくらい、筆記体はレアな存在になっています。授業ではコミュニケーションを重視しているのと、海外では筆記体を実際に使用している人が少ないこともあって、私は教えていないんですよ」


ウソです。自分なりにぐちゃぐちゃに崩してる人が多いですが、筆記体使っている人、普通にたくさんいます。この公立中学の先生はいったい何を言ってるんでしょうか?

もちろん、筆記体を使わないで、ブロック体を使ってる人もたくさんいますし、とりわけ、ブロック体を自己流にぐちゃぐちゃに崩してる人がたくさんいます。ツワモノになると、全部大文字のブロック体で書いたりしています。(もちろん、手書きのメモとかノートの話で、公式な文書はきちんと大文字小文字を使い分けてますよ)。よくもまぁこんなに素早く書けるなというとてつもない速さでブロック体でノートを取る友人もいます。でも、それを見て、筆記体は使われてないと断定して、じゃあ教えなくてもいいというのはちとムチャクチャじゃないの?

筆記体、すらすらと書ける必要はないと思いますが、少なくとも読めないと、英語圏の職場や学校でメモやノートを渡されたときや、会議のボードにぐちゃぐちゃと書かれたとき、「習ってないから読めません」では話になりません。とある日本の大学の海外研修で、筆記体もどきで板書をしているアメリカ人の先生に、「汚いからきちんと綺麗に書いてください」と言った学生がいたそうです。まぁ、たしかにこっちの人の手書きは滅茶苦茶汚いんですがね、筆記体が読めるのであれば、こういうのは慣れてきたら読めるようになります。けど、筆記体が読めなければかなり慣れるのは難しいでしょうね。

ところで、この公立中学の先生は「授業ではコミュニケーションを重視している」なんて言ってますが、他人が書いたものを読めるというのはコミュニケーションの基本なんじゃないのか?と、僕は思うわけです。そして、日常的に色んな人の書いたアルファベットを読む機会が日本の中学生にはない以上、筆記体を少なくとも一回は書いて覚えないとどうしようもないでしょう。

ちなみに、手書き文字が汚ければ、日本であれば「書いたほうが悪い」ということで、子どものうちに一生懸命書きとりを練習させますが、アメリカでは「書いた人が悪い」という意識はあまりないようです。筆記体崩れやブロック体崩れの汚い文字も個性ということでしょうか。まぁだから、公式文書は必ずタイプしたものになるんでしょうね。そういう背景を理解して、筆記体を読めるようにしておき、どんな汚い文字でもある程度読めるようにしておくのが、国際理解教育ってもんではないでしょうか。
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by toshishyun | 2009-04-29 06:43 | アメリカ文化