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中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

携帯の開発環境はいつも泣かされる

2009 International CES:Palm、新OS「Palm webOS」とマルチタッチスクリーンの新携帯「Palm Pre」を発表 - ITmedia News

WebOSで、XHTML+JavaScriptでのアプリ開発が可能になりました。

さて、いま僕の研究チームでは、中学生を持つ家庭向けのソフト開発をしていますが、開発プラットフォームの選択で揺れています。

選択肢は次のとおり

1) iPhone
2) Nokia N95 + FlashLite
3) Palm WebOS
4) Google phone (Java)

携帯のアプリ開発をするときには、日本でもプラットフォームを何にするかは頭を悩ますところですが、アメリカではもっと悩ましい話になります。いま考慮しているのは、大体次のようなことです。

1) マーケットシェア

僕の住んでいるベイエリアの中で、Palo Altoなどの裕福な地域では、iPhoneのシェアが非常に高く、中高生でもわりと持っています。iPhoneを開発プラットフォームに選ぶと、割と幅広い人たちに使ってもらえます。しかし、iPhoneで開発したものは、iPhoneでしか動きません。Nokia N95+FlashLiteや、Palm WebOSの場合は、他のモデルで動かすことができます。ただし、WebOSはまだ販売されていませんので、マーケットシェアは0ですGoogle Phoneは昨年末にやっと端末が出ました。シェアはまだそんなにありません。ちなみに、そもそも、iPhone, Nokia, Palm WebOS、Google Phoneともに、このようなハイエンドモデルのシェアそのものがあまり高くありません。日本ではもはや探すのも大変な第二世代のモデルも結構現役で使われています。3G対応ではない端末もリテールで普通に売られています。

2) 開発効率
開発効率は次のとおりです。

 xhtml+JavaScriptやxhtml+CGI > FlashLite > Java, Cocoa/C++

右に行くにしたがって、開発時間は倍倍になります。開発効率から言うと、Web OSにできればいいのですが、まだ販売されていません。iPhoneは、ようやくAppleが開発環境を公開したものの、開発者同士の情報交換がAppleによって制限されているため、何か問題にあたってもほとんど支援なしに解決しなければなりません。そういう開発の不便さがあります。Google PhoneのJavaは、SDKがまだ揃っていないような様子です。FlashLiteは、開発はしやすいのですが、プルダウンメニューのようなUIコンポーネントが動作しませんので、不便です。

3)将来性

アメリカでは、先に書いたように、第二世代・第三世代が入りまじっていて、しかも、Web OSとかGoogle phoneのような次々新しいプラットフォームの端末が登場し、しかもiPhoneのような「閉じた」環境の携帯が日本以上に広く行きわたっている・・・。もう、どれに将来性があるかなんてわからん!すぐにころころあっちに行ったりこっちに行ったりする!

プラットフォームを超えてたくさんの人に使ってもらえて、しかも末長く将来に渡って・・・なんていうのは望みすぎでしょうか?商用のソフトじゃないんです。教育用のソフトなんです。大手のソフトウェア会社のようにバカスカ投資して開発できるわけでもないし、移植のために充分な人員がいるわけでもないんです・・・。

え、ウェブアプリにしたらいいやんって?アメリカってデータ通信が日本みたいに安くないから、ウェブアプリにもなかなかできないんですよ。

・・・僕個人の要望としては、iPhoneはやめてほしい・・・。開発したソフトを日本に持ってかえってもあんまり使えないから。できればFlashLiteにして!あぁ、けどiPhoneになりそうな予感。
by toshishyun | 2009-01-28 17:16 | ラーニングとテクノロジー