中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

chez panisse(シェパニーズ)とオーガニック

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日本でもオーガニックはすでに普及しきったような感がありますが、ベイエリアもオーガニックに対する関心はとても高いです。

オーガニック専門のWhole Foodsというスーパーマーケットは、いつも繁盛していて、ひっきりなしに車が出入りしています。普通のスーパーよりもちょっと高い目なので、小ざっぱりした格好の方がお客さんに多いのですが、それでもアメリカ人はスーパーの中に置いてあるものを、食べる食べる!スナック菓子の袋を開けて、ショッピングカートの上に置いて食べながら買い物をするなんてのはざらで、ツワモノはアイスクリームの大きな箱を開けて食べてたり、ランチボックスに入った料理を普通に食べています。スーパー全体が巨大な試食コーナーと化しています。従業員ですら、休憩時間に陳列してある飲み物を開けて飲んでいます。まぁ、しない人はしないんですけどね、もちろん。

え、僕?僕はたまに試食用に置いてあるオリーブを「毎回」いただいてるくらいですよ。あと、試食用のチップスとか。試食用ではないものを食べていないとはいえ、だんだん「食べるのがあたりまえ」みたいになってくるのが怖いですが。

話が脱線しましたが、そんななかで、ぜひ行ってみたいのが、ノースバークレーにあるChez pannisse(シェパニーズ)というレストラン。カリフォルニア料理の母といわれるアリス・ウォーターズが作った、「カリフォルニアで最初のカリフォルニア料理のレストラン」です。その日仕入れられたオーガニック食材を使って作るので、コースが1つだけというメニューだそうです。

1月は忙しいので、2月中旬くらいに行こうかと思っています。

ところで僕は、オーガニックは、数年前から始めています。水はミネラルウォーターを10年ほど前から飲むようにしていましたし、同じく食材には10年近く前から気を使っています。やはり、きちんとした食材を食べると味覚が変わってきます。

十数年前の学生の頃は、水は水道の水、食べ物は、ラーメンとかファーストフードなんかの、B級グルメと言われる外食や、スーパーの出来合いのものを食べることがおおかった(というかほとんど毎日)のですが、ある時期、食べ物の味がよくわからなくなってたことがありました。そういう期間が年単位で続いていたように思います。何回かの食事に一回、塩味以外ぜんぜん味が感じられないのです。いまから思えば、人工調味料などの取り過ぎで舌がおかしくなってたのだと思います。

それから、昔の僕は、「ちゃんとしたものを食べなさい」ということが理解できていませんでした。子供のころ、家庭で、「男なら(*)、出されたものは黙って残さず食べなさい」というしつけをされていましたので、食べ物をより好みをすること自体考えられないという性格もあって、なんとなくこう、オーガニックとか自然食とか、水はミネラルウォーターだとか、産地にこだわった食材だとか、あそこの店は上手いだのまずいだの、そういうケチなことにこだわることに嫌悪感を抱いていたという事情もありました。ごちゃごちゃ言わずに黙って食え、と、まぁそう思っていたわけです。

(*「男なら」、ってセリフはなにぶん25年以上も前のことですので・・・。いまならこういうこと言ってしつける親って少ないでしょうね。)

こういう前時代的な感性に学生の貧乏な懐具合がプラスされると、上記のように「味覚バカ」になってしまう危険があるわけです。当時は食育なんて言葉もありませんでしたしね。自分ではそれが日常になっているので気づいていませんでしたが、おそらく体調もあんまりよくなかったはずです。

まぁしかし、10年近く前に、いろんなきっかけで、自然食のものとか、きちんとした食材で作られたものを口にするようになって数か月が経ってから、明らかに自分の味覚が変わってきました。まず、レストランに行って出された水を飲むと、水道の水なのか、ミネラルウォーターなのか、浄水器を使った水なのかがわかるようになりました。レモンなんか入れてごまかしても、だいたいわかります。また、料理を食べたときに、MSGを入れて味をごまかしているかどうかもわかるようになりました。そして、「おいしい」と「それほどおいしくない」の区別がつくようになりました。自分の中に「まずい」というカテゴリーができることが幸せなことかどうかはわかりませんが、それ以上に、食のもたらす生活の豊かさというものに気づくことで、自分の感性が少しは豊かになった気がします。

それから、明らかに体調が変わりました。なんというか、倦怠感がなくなったような気がします。これは単に「気のせい」かもしれませんが、人間の健康にとって「気のせい」の果たす役割はとても大きいと思うので、それだけでも効果があったと思っています。

あぁ、でもやっぱりときどき、ファーストフードのハンバーガーとかポテトとかが死ぬほど食べたくなって、食べてしまいます(笑)。あのチープな人工調味料の刺激が欲しくなるんですね。ファーストフードはドラッグです。

あ、それから、自分の中に「まずい」というカテゴリーができた後になっても、僕は知っている人の作ったものは決してまずいとは感じません。無理にそうしようと思っているのではなく、ほんとうにまずいと感じないのです。そこには愛情が入っているからです。たぶん。
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by toshishyun | 2009-01-26 05:16 | アメリカ文化