IRBのオンライントレーニング
2009年 01月 24日
それに先だって、研究者はみなオンラインのトレーニングを受けなければいけません。これは大学院生も同じです。
ということで、CITIというサイトでトレーニングを受講したのですが、なかなか時間がかかって大変でした。5時間以上はやっていたように思います。途中で簡単なクイズが何度も出されるので、しっかりとテキストを読まなければなりません。
「研究」の定義や、「被験者」の定義に始まって、連邦政府の倫理規定が定められた経緯、研究のもたらすリスクや利益について見積もる際の観点、被験者の同意に必要な情報提供の内容など、盛りだくさんです。とくに規定に関することは本当にややこしくて、Belmont Report, Common Rule, FERPAなどなど、いくつもの法律や規定とそれらの関連を一生けん命覚えました
いろいろと事例も出されていたのですが、中には「よくまぁこんなひどい研究をやったな」というものもあります。この手の反倫理的な研究でよく引き合いに出されるのは、我がすたんふぉーど大学のスタンフォード監獄実験ですが、それ以外にも、レストランの反応を見るために、食中毒になったとウソの手紙を送ったことで、レストランの従業員がクビになったり、ゲイの振りをしてゲイのコミュニティーに紛れ込んだ後で、彼らの奥さんや子どもがいる前でそのことについてインタビューをしたり、裁判所で陪審員に内緒で盗聴をしたり、ほんと、データ集めのためならウソは平気でつくし、愉快犯まがいの犯罪的な行為はするしで、データに目がくらむとなんでもやってしまうんだなぁ、と思いました。
ところで、僕のやりたいのは簡単なインタビューなんですが、それでもこういうトレーニングを受けて、しかもIRBの審査にかけるために、いろいろと文書を用意しなければなりません。研究倫理に厳しいのはとてもいいことなんですが、医療の臨床研究ならいざ知らず、たった30分くらいのインタビューでもここまで手間がかかるのは、ちょっと気が重いです。
ただ、いずれ日本の研究倫理の審査もこれくらい複雑になることが予想できるので、いまこのようなことをカジっておくのもいいかなぁと思いました。そういえば、以前にお世話になっていた研究チームの仲間で、看護系の大学にお勤めの先生に見せていただいた倫理規定はかなり厳しかったのを思い出します。