ジョージアの算数・数学カリキュラム
2008年 11月 18日
日本の算数・数学教育が優れているのはアメリカではよく知られているところですが、公的に日本のやり方を取り入れているジョージア州には、なんだか親近感がわきます。
アメリカのスタンダードは、いわゆる詰め込み教育的に、とにかくたくさんの内容をカバーしている割には、それぞれの単元の理解が浅いことが問題だと言われています。「a mile wide, an inch deep」などと揶揄されます。
一方で、日本の学習指導要領は、程よく厳選された内容で、しかも、学年をまたいで系統立てられた内容で、一つ一つの事項を深く分析しながら学べるように配慮されています。ジョージアは、他州に先駆けて、日本を手本に大胆にスタンダードを変更しました。
ただし、問題もたくさんあって、一番の問題はやはり「授業研究」がないことです。以前の投稿にも書きましたが、アメリカには授業研究や指導案というものがありません。したがって、ジョージアで大胆にカリキュラムを改編しても、それに教員研修がついていかない可能性が高いのです。
また、日本の算数・数学教育では、「線分図」のような、問題についての教師と生徒の対話を仲立ちしたり、生徒が問題を自分で分析したりするときに使用する、「視覚的支援ツール」が充実しています。こういうツールの利用なしに、日本的なカリキュラムを導入しても、日本のような「課題解決型」の授業展開は難しいのではないかと思います。
ともあれ、ジョージアの実践が困難を伴うものだったとしても、日本のやり方を取り入れることで、少しでもジョージアの算数数学教育がよくなれば、と願わずにはおられません。
カリフォルニアの様子も調べていかないと・・・。
「参考文献 渡辺忠信 アメリカの数学カリキュラムの近況:課題と展望 日本数学教育学会誌」