中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

パノラマビデオがもたらす学びの可能性 Kogeto Dot $79

iphoneで360度パノラマビデオが撮影できるKogeto Dotが先月発売された。これは教材づくりや授業研究に大きな可能性をもたらすだろう。

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たった$79。安い。激安だと思う。10年ほど前にパノラマ動画を撮影しようと思えば100万円以上の機材を買わなければできなかった。

Kogeto Dot。たとえば、授業研究でいえば、新任教師など、若手の育成に活用できるのではないだろうか。

新人とベテランの能力の違いを比較する研究をノービス・エキスパート研究というが、この領域で明らかになっていることは、同じ現象を見ても、新人とベテランでは注視する個所が全く違うということである。教師について言えば、その力量や授業観によって観察するポイントが異なるものである。授業に対する理解が深まるほど、ベテランになるほど、授業者の動きではなく生徒の詳細な様子に注意がはらわれるようになると言われている。

したがって、たとえば、ベテランと若手の教師がKogeto Dotで撮影したビデオを共に観ることによって、お互いの授業の注視する個所の違いについて対話をし、それによって若手の授業を見る目を養うことができる可能性がある。

簡単に言うと、自分の授業の中で「一体何が起こっているのか?」を若手がベテランから学ぶことができるということである。

これは、これまでのビデオでもできないことはないが、難しかった。なぜなら、普通のビデオは撮影する時点で撮影者の主観でフレーム(注視点)がある程度決まってしまっているからである。そして、フレームの外側で起こっていることは見ることができない。

もちろん、ライブの授業研究だと同様のことはできるかもしれない。ただ、ライブの授業ではいろんなことが雑多に、同時多発的に起こっている。ビデオを使うと、ライブでは見逃してしまうようなことも、落ち着いてじっくりと何度も繰り返し見ながら対話ができるという良さがある。

ちなみに、エキスパートが初心者の注視点をガイドしてやることを「ガイデッドノーティシング」(導かれた気づき)と言う。いろいろな学びの場面で応用できる考えかたである。

Kogeto Dot 公式サイト
Kogeto Dot発売開始 QTVR Diary
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by toshishyun | 2011-12-04 18:52 | ラーニングとテクノロジー