中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

アメリカの巨大さ

今回、米国滞在通算5年目にして、アメリカの巨大さというものが実感としてわかってきました。

日本も多様な地方文化がある国だけれど、アメリカの巨大さは理解の範囲を超えています。たとえば、教育について「アメリカでは・・・?」などと聞かれても、答えようがない。

例えば、うちの近辺の学区でも、学校によって教えていることはバラバラ、いや、もっといえば、先生によって教えていることがバラバラ。カリキュラムに拘束力がないからです。

小学校では、1年~3年までしか教えない先生、1年~3年と5年しか教えない先生など、学年配当も変わっています。

それから、同じ学区内の学校でも、ある学校は幼稚園から2年生までしかなくて、別の学校は3年生から5年生までしかない。もちろん、普通に幼稚園~5年生まである学校もあります。(中学は4年制です)。

また、私立校と公立校では、入学時の年齢の算出方法が違ったりします。日本だと4月~3月が一学年ですが、ここでは、9月~8月の場合と、10月~9月の場合がある。だから、同じ子が、通う学校にいくと学年が変わる。

日本でいう指導主事のような、各教科のコーチは、学校が雇う場合もあれば、学区が雇う場合もあれば、州が雇う場合もある。校長は、教員経験がない民間人が採用されて3年ほどで辞めていったりする。10年で11人の校長が辞めた学校もあるが、それは異常なことではない。

このような多様性を挙げればきりがありません。そして、こういう多様性に富んだ学区が、ベイエリアの東側だけで数十。その中には、半公立のチャータースクールなどもあります。そして、これらの学区には、実にさまざまなNPOや財団や企業が出入りし、サマースクールやアフタースクールを提供し、学校ごとに特色をかもしだしています。

日本の広さほどのカリフォルニアには数百、そういう学区があります。だから、アメリカと言わず、カリフォルニアの教育の特色は?などという質問ですら、なかなか答えるのが難しい。サンフランシスコのある北カリフォルニアとLAのある南カリフォルニアではカルチャーも全然違います。

こういうのが50州あるわけです。

アメリカは州が違えば国が違うと言われるほど、州の権限が大きく、ある州では違法でも別の州では合法になりますが、教育でも、州によって制度や内容が違います。たとえ科学的であっても、キリスト教の教義に背くことを教えてはいけない州もあります。

人に話を聞けば聞くほど、知れば知るほど、その像を掴もうとすればするほど、するりするりと逃げられて、あとからあとから、考えたこともなかったような事実が出てきます。

ここから飛行機で7時間ほど飛ばないと、反対の端っこである東海岸には行けませんが、そのあいだに横たわる広大な国土の上で、莫大な数の教師や生徒が、先述のような状態でちりばめられているんです。気が遠くなりそうです。
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by toshishyun | 2009-07-09 16:02 | アメリカ文化