中植正剛 神戸親和女子大学准教授 教育工学を専門にする大学教員の日々の雑感


by toshishyun

「マスクをすると仕事ができません」。新型インフル対策の温度差

【8】「マスクをすると仕事ができません」。新型インフル対策の温度差:日経ビジネスオンライン

日本はかなり欧米化されているので、こちらに来ていても、食べ物や習慣などは、文化の違いがなかなか見えにくいと思うことがあります。もちろん、レストランでチップを払うとか、家のなかで靴を脱ぐとか、銃持っちゃいけないとか、そういう違いはたくさんありますし、「ほぅ、そうなのか」と思うこともあります。しかし、なんかこう、「本質的に決定的に異次元に文化が違う!」って強く感じることはそれほど多くありません。むしろ、「結局人間の文化だから、違うところはあっても、共通するところのほうが多いよなぁ」って思うことのほうが多いです。

これは、単に鈍感なだけなのか、それともすでにかなりアメリカ文化に溶け込んでいるからなのか。

ところが、人の本性って、危機のときに出るっていいますが、今回の新型インフルエンザは、外から見ると日本人の本性がよく見えるし、日米の違いが見えて興味深いなぁと思っています。


 「米国でマスクをしていると仕事になりません。やむを得ず、自分の判断で外しましたので、ご報告します」


こんなことを律儀に報告するところが、日本人だなぁと思います。

この報告メールは、日本人の目で見ると、会社の通達に忠実な社員と評価できますが、外からの目で見ると、コントに見えるようです。なんでもかんでもトーキョーに問い合わせる日本のビジネスマンというのは、アメリカのジョークにもちょくちょく出てきます。(例えば、無人島で美女と二人きりになったサラリーマンが、どうしていいかわからずにトーキョーのホンシャに問い合わせる)。この手のジョークを読んで、僕は80年代のバブル期のジャパニーズビジネスマンを想像して笑っていたのですが、最近のインフルエンザの反応を見ると、ちょっと笑えなくなってきました。

しかし、いろいろなところで「日本人は過敏すぎるんじゃないか」という意見があっても、「欧米人は鈍感すぎるんじゃないか」という意見はあまりありませんね。どこかで自分たちでも、「うーん、過敏すぎるけど、人に迷惑かけたとか言われたら嫌だし面倒だからとりあえず言われた通りにしとくか」って意識もあるのかもしれないですね。

関係ないですけど、致死率0.4%のインフルエンザでもここまできっちり対応するのなら、過去15年で45万人以上が死んでいる、「自殺」の問題を、日本人として、なんとかしなくちゃいけないなぁと思います。

パンデミック寸前のインフルエンザにかかる可能性よりも、一生のうちに自分や身の回りの人のうちの誰かが自殺する可能性のほうが高いわけで、そういうことを心配しなくちゃいけない社会はちょっと悲しすぎます。

いまのところ、新型インフルエンザは全世界で死者80名。これは軽く扱える問題ではありません。しかし、統計的には、日本では、自殺で毎日100人ずつ亡くなっていることになります。過去15年の45万人という数字は、神奈川県横須賀市や愛知県豊田市や兵庫県西宮市のような、中核市と呼ばれる規模の都市で、住民が全員自殺したのと同じくらいの数字になります。これは自己責任ではなく、社会問題でしょう。

自殺が多いのは、今度のインフルエンザみたいに、日本人は「人に迷惑かけちゃいけない」という意識が強すぎるからかなぁ。周りからのほんの少しの理解と愛情で救えるものなのになぁ。話は脱線しましたが、そんな風に思います。
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by toshishyun | 2009-05-21 01:02 | その他